【一部食用となる】南米のコカとケシ

食品
この記事は約5分で読めます。

コカとは

 コカは、ペルーやチリ、ボリビア、エクアドル、コロンビアで見られる植物です。標高300~1500mの山地で栽培されています。高さ1.5mまで育つ灌木で、コカの葉は、8〜10cm程度、暗緑色で先がとがっており、ローレルの葉に似た形状をしています。小さな白い花を咲かせ、赤い卵型の実をつけます。コカの特徴としては、麻酔効果や鎮痛効果、興奮作用、鎮静作用、消化の促進、疲労回復効果、血行の改善、虫歯予防などがあります。現地でコカは、高山病や胃炎、潰瘍に用いられます。コカは、カルシウムなどのミネラルやβ-カロテンなどを多く含んでいます。この地域の先住民にとっては、カルシウムを補う貴重な食品のひとつと考えられていました。

 コカは、さまざまなアルカロイドを含有しています。アルカロイドとは元来、植物由来の窒素を含む有機化合物で、強い生物活性を有する化合物群と定義されています。コカに含まれる代表的なアルカロイドは、コカインです。コカインは、麻酔薬や鎮痛剤として用いられます。そのほかにエクゴニンは、脂質や糖質の代謝、血行の改善、アトロピンは麻酔薬、キノリンはリンやカルシウムと結びつき、虫歯の予防、コニインは麻薬としての効果、コカミナはコカインの持つ麻酔効果や鎮静効果の増強、イヌリンは胆汁の分泌促進や肝機能の改善、ベンゾインは胃炎や潰瘍の治療、レセルピンは高血圧時の動脈圧の正常化や骨細胞の増殖促進です。

  コカは、アルカロイドのコカインを含んでいますが、短時間で数Kgのコカの葉を噛むなどしなければ、麻薬効果はありませんので、現地でコカの葉のお茶を飲んでも問題ないそうです。

 ペルーなどの先住民の生活にとって、コカはなくてはならないものでした。当時現地では、のどの渇きをいやし、疲れを回復させる目的で使用されていました。現地では、乾燥させたコカの葉をリプタと呼ばれるキヌアなどの植物の灰でつくったものと一緒に噛み、コカに含まれるアルカロイド成分の吸収を促しました。

 コカの葉のお茶は、高山病にいいと言われ、現地アンデスのホテルやレストランなどで提供されています。また、現地ではコカを含むチョコレートや飲料、キャンディなどの製品が販売されています。

 コカの葉は、コカインの原材料となることから、多くの国で麻薬として扱われ、使用や所持、販売が規制されています。日本を含め先進国の大半は、コカインによる危険性から、コカの葉を含め、すべて麻薬あるいは麻薬原材料植物と定められ、栽培や持ち込み、流通などが厳しく規制されています。

ケシとは

 ケシは、ケシ科ケシ属の1年草です。ソムニフェルム種のケシは、麻薬成分のモルヒネを含み、アヘンケシあるいは オピウムポピーと呼ばれ、アヘン法により所持や栽培などが禁止され、園芸用や食用のケシとは別の種類となり、区別されています。

 ケシの実は、ポピーシードとも呼ばれ、ケシ科ケシ属の1年草の植物の種子を乾燥させたスパイスです。ゴマよりも小さく、色は白いものと黒いものがあります。日本では、七味唐辛子やアンパンの上に振りかけられています。ケシの実の食感はプチプチとしており、味はくるみに似て、焼くと香ばしいナッツ類の香りがします。パンやマフィン、クッキー、ケーキなどにも使用されています。日本で販売されているケシの実は、発芽しないように加熱処理がなされており、栽培はできません。そして、何よりも健康に害はありません。インドでは、カレーのスパイスとして用いられ、クリーミーな料理ではカシューナッツやピーナッツ、生クリームなどと一緒にミキサーに掛けてペースト状にし、濃厚な味を演出します。

 ケシの実は、ビタミンB群をはじめ、葉酸やミネラル、カルシウム、マグネシウム、鉄、食物繊維、不飽和脂肪酸のオレイン酸などを含んでいます。食物繊維は成分の20%前後を占め、オレイン酸は動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を予防し、心疾患や脳卒中などのリスクを下げる働きが報告されています。

 英語ではポピーとして親しまれているケシは、春先に黄色やオレンジ、赤、ピンク、白の小ぶりな花を咲かせる植物として知られています。園芸種として、ヒナゲシがあり、英語ではコーンポピーと呼ばれます。

 ケシの歴史は古く、紀元前3000年頃にシュメール人はケシを歓喜や至福をもたらす植物と呼んでいました。紀元前1500年頃の古代エジプトの医学書には、ケシは鎮痛剤あるいは睡眠薬として記されています。ケシの未熟果の表皮に切り込みを入れると、乳液状の物質が分泌されます。これを集めて乾燥させると黒い粘土状の生アヘンとなります。おおよそ10%程度のモルヒネなどの多くのアルカロイドを含みます。その後、ケシは大航海時代にアヘンの原材料として世界中に広まりました。イギリスの植民地であったインドで栽培が始まり、生産されたアヘンは中国へ輸出されて、歴史的にも有名なアヘン戦争をひき起きしました。

まとめ

 コカは、ペルーやチリ、ボリビア、エクアドル、コロンビアで見られる植物です。コカの特徴としては、麻酔効果や鎮痛効果、興奮作用、鎮静作用、消化の促進、疲労回復効果、血行の改善、虫歯予防などがあります。現地でコカは、高山病や胃炎、潰瘍に用いられます。

 コカは、アルカロイドのコカインを含んでいますが、短時間で数Kgのコカの葉を噛むなどしなければ、麻薬効果はありません。コカの葉のお茶は、高山病にいいと言われ、現地アンデスのホテルやレストランなどで提供されています。また、現地ではコカを含むチョコレートや飲料、キャンディなどの製品が販売されています。なお、日本を含め先進国の大半は、コカインによる危険性から、コカの葉を含め、すべて麻薬あるいは麻薬原材料植物と定められ、栽培や持ち込み、流通などが厳しく規制されています。

 ケシは、ケシ科ケシ属の1年草です。ソムニフェルム種のケシは、麻薬成分のモルヒネを含み、アヘンケシあるいは オピウムポピーと呼ばれ、アヘン法により所持や栽培などが禁止され、園芸用や食用のケシとは別の種類となり、区別されています。

 ケシの実は、ポピーシードとも呼ばれ、ケシ科ケシ属の種子を乾燥させたスパイスです。日本では七味唐辛子やアンパンに使用され、食感はプチプチとしており、味はくるみに似て、焼くと香ばしいナッツ類の香りがします。日本で販売されているケシの実は、発芽しないように加熱処理がなされており、栽培はできません。何よりも健康に害はありません。インドでは、カレーのスパイスとして用いられます。

タイトルとURLをコピーしました