【発明】知的財産権に守られた調味料

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常識を覆す製塩法「ぬちマース」

 近年は、健康と味の両面から塩にこだわる人が増えています。そんな中、従来とはまったく異なる製塩法によって、海から生まれた塩が、沖縄の言葉で「命の塩」を意味する「ぬちマース」です。

 一般的な自然海塩の塩分含有量が85%程度であるのに対して、「ぬちマース」は73.3%した塩分を含んでいません。残りはすべてミネラルで、その種類も世界一多いとギネスに認定されました。まろやかな味わいだけでなく、さまざまなミネラルの働きで、塩分を体内から排出することでも、「ぬちマース」は注目されています。「ぬちマース」をつくる「常温瞬間空中結晶製塩法」は、霧状の海水を空中に飛ばして水分を気化させ、塩分と共にミネラルをすべて取り出すことを可能にしました。工場には真白な塩が雪のように降り積もり、その光景はさまざまなメディアで紹介されています。

 この製塩法のポイントは、海水を微細な霧状にする技術です。この部分は、開発者が植物の栽培で生み出した技術の転用でした。当初は気化熱を利用して、音質の温度を避ける装置として開発しました。水の粒が大きいと、常温下では完全に気化する前に落下してしまいます。ノズルから放出する方法では、水の粒が十分に小さくなりません。試行錯誤の末に遠心力を利用して、水を微細な霧状にすることに成功しました。

 開発者が、海水のろ過や濃縮、塩の回収方法など全部で21項目からなる製塩法の特許を出願するまでに要したのは、わずか1.5ヶ月程です。最初はそんな方法で塩ができるはずはないと、誰にも相手にされませんでしたが、国内に続き、アメリカなどにも特許を出願し、権利を取得しました。海外からも注文が増え、国外に合弁会社を設立するなど、事業拡大を続けています。

100年を超す世界的ロングセラー「味の素」

 日本のみならず、世界中でロングセラーとなっている「味の素」は、1908年まで遡ります。昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることを、東京帝国大学の池田菊苗教授が突き止め、グルタミン酸ナトリウムを主成分としたうま味調味料の製法特許を取得しました。その工業化に応じたのが味の素株式会社の創始者であり、池田菊苗教授の特許権を共有し、商標「味の素」を登録しました。

 当時の登録証を拝見すると、指定製品が「味の素」となっています。調味料といえば伝統的なしょう油やみそなどしかなかった当時、うま味を付与する調味料がいかに画期的だったかがわかります。

 売上げが伸び始めると、次々に類似品が現れました。関東大震災で生産が一時的に困難になったときには特に多くの類似品が出回ったようです。また、味の素キャラメルや煙草味の素などブランドイメージに便乗した製品も現れ、同社は訴訟で排除を行いました。製品が広く普及するに従い、登録商標が普通名称のように扱われる問題も生じました。新たに出願した図形商標が、「味の素」は普通名称であるとの理由で、いったん拒絶され、抗告審判で争って、あらためて識別力を認める審決を得ています。

 戦後になると、漢字および英字表記で各国に商標を提出し、170ヵ国以上で登録しているほか、販売国の言語で表記した商標も登録しています。東南アジアや南米では偽物の問題はあとを絶たない状況ですが、それもヒット製品の証左ということができます。知的財産権を重視する一貫した取り組みによって、世界各国に浸透した「味の素」は、発売から100年以上に渡って守られてきています。

まとめ

 従来とはまったく異なる製塩法によって、海から生まれた塩が、沖縄の言葉で「命の塩」を意味する「ぬちマース」です。一般的な自然海塩の塩分含有量が85%程度であるのに対して、「ぬちマース」は73.3%した塩分を含んでいません。まろやかな味わいだけでなく、さまざまなミネラルを含んでいます。

 「ぬちマース」をつくる「常温瞬間空中結晶製塩法」は、霧状の海水を空中に飛ばして水分を気化させ、塩分と共にミネラルをすべて取り出す方法です。この製塩法のポイントは、海水を微細な霧状にする技術です。試行錯誤の末に遠心力を利用して、水を微細な霧状にすることに成功しました。

 開発者は、海水のろ過や濃縮、塩の回収方法など全部で21項目からなる製塩法の特許を出願し、国内だけでなくアメリカなどでも権利を取得しました。海外からも注文が増え、事業拡大を続けています。

 世界中でロングセラーとなっている「味の素」は、1908年まで遡ります。昆布のうま味成分がグルタミン酸ナトリウムであることを、東京帝国大学の池田菊苗教授が突き止め、グルタミン酸ナトリウムを主成分としたうま味調味料の製法特許を取得しました。その工業化に応じたのが味の素株式会社の創始者であり、池田菊苗教授の特許権を共有し、商標「味の素」を登録しました。

 以前は日本国内で類似品やブランドイメージに便乗した製品に悩まされ、今も東南アジアや南米など一部の地域で偽物があとを絶ちませんが、同社の知的財産権を重視する一貫した取り組みによって、世界各国に浸透した「味の素」は、発売から100年以上に渡って守られてきています。

 「ぬちマース」と「味の素」が世界的に広がった理由のひとつに、商標登録や特許といった知的財産権があります。この知的財産権により、これらの製品が守られています。

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