【活性酸素を除去する】スーパーオキシドジスムターゼ

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 スーパーオキシドジスムターゼ (Superoxide dismutase/SOD) は、細胞内に発生したスーパーオキシド、つまり活性酸素を分解除去する酵素です。略称は SODです。酸素分子に1つの電子が加わったスーパーオキシド(O₂⁻)は、その酸化作用による殺菌作用など生体防御機構に関与していますが、一方で大量に生成すると細胞傷害の原因となります。SODはスーパーオキシドの酸素と過酸化水素への反応( 2O₂⁻ + 2H⁺→O₂+H₂O₂)を触媒します。 SODはスーパーオキシドを除去し、活性酸素による障害から細胞を保護します。

 活性酸素には、スーパーオキシド(O₂⁻)のほかに過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシラジカル(・OH)、一酸化窒素(NO)ペルオキシニトライト(ONOO⁻)などの酸化窒素化合物があります。スーパーオキシドは、食べ物がエネルギーに変換されるときに生成します。活性酸素は、不安定で酸化作用が強く、他の分子と反応します。活性酸素が脂質を攻撃すると、連鎖的に脂質が酸化され、さまざまな疾患や老化などの原因となります。

 活性酸素を除去するSODの主成分は、たんぱく質となり、活性中心にはマンガン、銅、亜鉛、鉄などのミネラルが存在します。したがって、良質なたんぱく質やミネラル分を含むバランスのとれた食事が、食生活ででき得る活性酸素対策となります。

スーパーオキシドジスムターゼ

 スーパーオキシドジスムターゼ (Superoxide dismutase/SOD) は、細胞内に発生したスーパーオキシド、つまり活性酸素を分解除去する酵素です。1969年にMcCordとFridovichによって発見されました。略称は SODです。酸素分子に1つの電子が加わったスーパーオキシド(O₂⁻)は、その酸化作用による殺菌作用など生体防御機構に関与していますが、一方で大量に生成すると細胞傷害の原因となります。

 SODはスーパーオキシドの酸素と過酸化水素への反応( 2O₂⁻ + 2H⁺→O₂+H₂O₂)を触媒します。 SODはスーパーオキシドを除去し、活性酸素による障害から細胞を保護します。SODは大気レベルの濃度の酸素にさらされることによって死滅する偏性嫌気性細菌や乳酸菌には存在しませんが、酸素存在下でも生育できる通性嫌気性細菌や植物を含むすべての好気性生物が有しています。なお、乳酸菌では多量に含まれるマンガン(Mn)がSOD様の作用をしています。酵素の作用を受けて化学反応を起こす物質が結合し、化学反応が進む酵素の活性中心という部位に存在する金属により、銅亜鉛SOD、鉄SOD 、マンガンSODがあり、これらは作用が同じで構成するたんぱく質の構造が異なる酵素です。

 体内で使用される酸素の95%以上は、細胞中のエネルギーを産生するミトコンドリアで消費されるため、ミトコンドリアは活性酸素の生成の多い構造体です。マンガンSODは、ミトコンドリア内で生成した活性酸素の除去を行っています。

 酸素消費量に対するSODの活性の強さと寿命には、相関があると言われています。体重に対して消費する酸素の量が多い動物種ほど寿命が短くなるはずのところ、SODが活性酸素を除去することで寿命を延ばしているとするものであり、動物の中でも霊長類の人は、SOD活性の高さが際立ち、人が長寿である要因のひとつとされています。

活性酸素

 活性酸素には、スーパーオキシド(O₂⁻)のほかに過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシラジカル(・OH)、一酸化窒素(NO)ペルオキシニトライト(ONOO⁻)などの酸化窒素化合物があります。スーパーオキシドは、食べ物がエネルギーに変換されるときに生成します。過酸化水素は、スーパーオキシドがSODによって除去されると生成します。過酸化水素は消毒作用があり、消毒薬のオキシドールとも呼ばれ、傷口の殺菌に使用されます。ヒドロキシラジカルは、過酸化水素と体内の鉄などの金属イオンが反応した際に生成します。ヒドロキシラジカルは、酸化力が強く、生活習慣病や老化の引き金となる可能性が高いといわれています。

 活性酸素は、不安定で酸化作用が強く、他の分子と反応します。活性酸素が脂質を攻撃すると、連鎖的に脂質が酸化され、動脈硬化の原因となる過酸化脂質が増加し、動脈硬化、心筋梗塞、腎臓病などさまざまな疾患の引き金になります。活性酸素によって、核酸も損傷し、老化などの原因となる変異を起こします。同様にたんぱく質も損傷します。

 紫外線やある種の化学物質、酸化した油脂、ストレスなども、体内で活性酸素を増やすことが知られています。

 疲労を感じる原因として、以前は疲労物質の乳酸が蓄積することによって引き起こされるとされていましたが、昨今の研究では、乳酸ではなく活性酸素が原因であることが報告されています。

活性酸素が人の体に及ぼす害

 活性酸素の標的のひとつは細胞膜です。細胞のひとつひとつは細胞膜で覆われ、形状を保っています。細胞膜は、細胞に必要な酸素や栄養素を選択的に取り込む一方、不要な物質を細胞外に排出する働きもあります。

 細胞膜はリン脂質で構成され、リン脂質はリン酸と脂肪酸が結合したもので、この脂肪酸の標的となります。脂質には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類があり、飽和脂肪酸は主に動物性の脂肪に多く含まれ、バターなどのように常温で固体の状態です。一方、不飽和脂肪酸は植物性の脂肪や魚に含まれる脂肪で、常温では液体の状態です。細胞膜は、不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸が存在しています。不飽和脂肪酸は、炭素が2重結合で結び付いている脂質で、この2重結合の部分を活性酸素が結合し、酸化されます。

 核膜も同様に酸化され、過酸化脂質となります。過酸化脂質は、連鎖的に酸化を進行させ、細胞などを破壊します。

 細胞中のミトコンドリアは、エネルギーを産生するため、酸素の95%以上を消費することから、活性酸素に酸化されやすい構造体です。

 酸素は、血液によって全身に運ばれます。そのため、全身で生成する活性酸素によって、あらゆる器官が酸化により破壊され、病気を引き起こすことになります。一説によると活性酸素が引き金となっている病気は、全体の90%ともいわれ、3大生活習慣病も共通して活性酸素が深く関わっていることが報告されています。

食生活などからできる活性酸素対策

 活性酸素を除去するSODの主成分は、たんぱく質となり、活性中心にはマンガン、銅、亜鉛、鉄などのミネラルが存在します。したがって、良質なたんぱく質やミネラル分を含むバランスのとれた食事が、食生活ででき得る活性酸素対策となります。

 ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなども抗酸化作用を有することから、これらを含む野菜や果物をはじめとした食材も活性酸素の働きを抑える効果が認められます。

 また、紫外線をできるだけ避けること、ストレスを減らすこと、十分な睡眠をとることも、活性酸素の生成抑制、除去に寄与します。

まとめ

 スーパーオキシドジスムターゼ (Superoxide dismutase/SOD) は、細胞内に発生したスーパーオキシド、つまり活性酸素を分解除去する酵素です。略称は SODです。酸素分子に1つの電子が加わったスーパーオキシド(O₂⁻)は、その酸化作用による殺菌作用など生体防御機構に関与していますが、一方で大量に生成すると細胞傷害の原因となります。SODはスーパーオキシドの酸素と過酸化水素への反応( 2O₂⁻ + 2H⁺→O₂+H₂O₂)を触媒します。 SODはスーパーオキシドを除去し、活性酸素による障害から細胞を保護します。

 活性酸素には、スーパーオキシド(O₂⁻)のほかに過酸化水素(H₂O₂)、ヒドロキシラジカル(・OH)、一酸化窒素(NO)ペルオキシニトライト(ONOO⁻)などの酸化窒素化合物があります。スーパーオキシドは、食べ物がエネルギーに変換されるときに生成します。活性酸素は、不安定で酸化作用が強く、他の分子と反応します。活性酸素が脂質を攻撃すると、連鎖的に脂質が酸化され、さまざまな疾患や老化などの原因となります。

 活性酸素を除去するSODの主成分は、たんぱく質となり、活性中心にはマンガン、銅、亜鉛、鉄などのミネラルが存在します。したがって、良質なたんぱく質やミネラル分を含むバランスのとれた食事が、食生活ででき得る活性酸素対策となります。

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