【再生可能】食品廃棄物削減とバイオマスとしての利用

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 再生可能な生物由来の有機性資源で、化石資源を除いたものをバイオマスと呼びます。バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物があります。

 バイオマスを燃焼することなどにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。CO2の排出を削減するためには、大幅なバイオマスの活用が必要とされています。

 環境省は、平成31年に平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況の調査結果を取りまとめています。ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドームおおよそ115杯分)、1人1日あたりのごみ排出量は920gです。ごみ総排出量、1人1日あたりのごみ排出量ともに減少傾向にありますが、リサイクル率は横ばいです。

 1年に費やすごみ処理事業経費は、年間およそ2兆円です。このうちの食品廃棄物は、40~50%で、金額に換算すると8,000億円~1兆円となります。食品廃棄物には、食べられるものと食べられないものがあります。日本では、食べられるもののことを食品ロスと呼んでいます。

 家庭や食品関連業者からの食品廃棄物は、活用可能なバイオマス資源です。この食品廃棄物は、大きく分けて飼料、堆肥、メタンガス回収などへ利用される一方、それ以上に焼却や埋め立てて処分されています。

 このような状況下、食品リサイクル法では、食品由来廃棄物は循環資源の原材料と考え、生産や流通過程の工夫、消費のあり方の見直しなどによって、まずは食品廃棄物そのものの発生の抑制に取り組むこと、食品廃棄物のうちで再資源化できるものは飼料や肥料、油脂や油脂製品、メタン、炭化製品、エタノールの原材料として再利用することなどが盛り込まれました。

バイオマスとは

 バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念です。一般的には、再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをバイオマスと呼びます。バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物、すなわち、エネルギーや製品の製造を目的として栽培される植物があります。廃棄物系バイオマスは、廃棄される紙、家畜排泄物、食品廃棄物、建設木材、下水汚泥などがあげられます。未利用バイオマスとしては、稲わら、麦わら、もみ殻などが、資源作物としては、さとうきび、トウモロコシなどがあげられます。

 バイオマスから得られるエネルギーのことをバイオエネルギー、あるいはバイオマスエネルギーと言います。バイオマスを燃焼することなどにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。CO2の排出を削減するためには、大幅なバイオマスの活用が必要とされています。

一般廃棄物の排出及び処理状況

 環境省は、平成31年に平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況の調査結果を取りまとめています。

 主な結果として、ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドームおおよそ115杯分)、1人1日あたりのごみ排出量は920gです。ごみ総排出量、1人1日あたりのごみ排出量ともに減少傾向にありますが、リサイクル率は横ばいです。ごみ焼却施設数は減少したものの、発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の34.1%であり、昨年度よりも増加しています。ごみ焼却施設における総発電電力量は増加し、おおよそ310万世帯分の年間電力使用量に相当する電力を供給しています。最終処分場の残余容量は増加したものの、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況です。ごみ処理事業経費は増加しています。

 ごみの量は、年々少しずつ減ってきているとはいえ、1年に費やすごみ処理事業経費は少しずつ増えており、年間およそ2兆円にも及びます。これを国民1人あたりに換算すると、15,500円になります。

ごみ処理事業経費に占める食品廃棄物の割合

 1年に費やすごみ処理事業経費は、年間およそ2兆円です。このうちの食品廃棄物は、40~50%で、金額に換算すると8,000億円~1兆円となります。

 食品廃棄物には、食べられるものと食べられないものがあります。日本では、食べられるもののことを食品ロスと呼んでいます。

 ある大学の調査によると、燃えるごみの41%は食べ物のごみで占められており、しかも食べ物のごみ中の45.6%は手付かずの食べ物です。

 また、コンビニやスーパーの売れ残り、飲食店の食べ残しに対しても、事業者の負担だけでなく、巨額の税金が使われ、処分されています。

 食品ロス削減推進法が成立しても、消費者の意識が変わらず、今のままの暮らしを続けていれば、地球が1個では足りない事態となります。だからこそ、SDGs(持続可能な開発目標)が国連サミットで採択されました。

食品廃棄物利用の現状

 家庭や食品関連業者からの食品廃棄物は、活用可能なバイオマス資源です。この食品廃棄物は、大きく分けて飼料、堆肥、メタンガス回収などへ利用される一方、それ以上に焼却や埋め立てて処分されています。

 日本の食料カロリーベース自給率はおおよそ40%にもかかわらず、25%前後の大量の食べ物を捨てられており、食品廃棄物を減らす工夫が必要となります。現状では、食品廃棄物の堆肥化、メタン化は一部にとどまっています。

 このような状況下、食品リサイクル法では、食品由来廃棄物は循環資源の原材料と考え、生産や流通過程の工夫、消費のあり方の見直しなどによって、まずは食品廃棄物そのものの発生の抑制に取り組むこと、食品廃棄物のうちで再資源化できるものは飼料や肥料、油脂や油脂製品、メタン、炭化製品、エタノールの原材料として再利用すること、食品循環資源の再生利用が、経済的または技術的に著しく困難であって、メタン化と同等以上の効率でエネルギーを回収できる場合は熱回収利用すること、食品廃棄物は水分を多く含み、腐敗しやすい性質があるため、再生利用や熱回収が出来ない場合は、脱水、乾燥、発酵、炭化により減量することなどが盛り込まれました。

まとめ

 再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたものをバイオマスと呼びます。バイオマスの種類には、廃棄物系バイオマス、未利用バイオマス、資源作物があります。

 バイオマスを燃焼することなどにより放出されるCO2は、生物の成長過程で光合成により大気中から吸収したCO2です。化石資源由来のエネルギーや製品をバイオマスで代替することにより、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができます。CO2の排出を削減するためには、大幅なバイオマスの活用が必要とされています。

 環境省は、平成31年に平成29年度における全国の一般廃棄物(ごみ及びし尿)の排出及び処理状況の調査結果を取りまとめています。ごみ総排出量は4,289万トン(東京ドームおおよそ115杯分)、1人1日あたりのごみ排出量は920gです。ごみ総排出量、1人1日あたりのごみ排出量ともに減少傾向にありますが、リサイクル率は横ばいです。

 1年に費やすごみ処理事業経費は、年間およそ2兆円です。このうちの食品廃棄物は、40~50%で、金額に換算すると8,000億円~1兆円となります。食品廃棄物には、食べられるものと食べられないものがあります。日本では、食べられるもののことを食品ロスと呼んでいます。

 家庭や食品関連業者からの食品廃棄物は、活用可能なバイオマス資源です。この食品廃棄物は、大きく分けて飼料、堆肥、メタンガス回収などへ利用される一方、それ以上に焼却や埋め立てて処分されています。

 このような状況下、食品リサイクル法では、食品由来廃棄物は循環資源の原材料と考え、生産や流通過程の工夫、消費のあり方の見直しなどによって、まずは食品廃棄物そのものの発生の抑制に取り組むこと、食品廃棄物のうちで再資源化できるものは飼料や肥料、油脂や油脂製品、メタン、炭化製品、エタノールの原材料として再利用することなどが盛り込まれました。

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