【手がかりは和菓子】手づくり感のあるクッキーの開発

食品の開発
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 焼きたての手づくり感のあるクッキーを家庭で手軽に食べてもらいたいとの思いから、不二家は、カントリーマアムに着手しました。

 焼きたてのような手づくり感のあるクッキーをつくり、家庭で手軽に食べられるようにする開発プロジェクトが始まった当時、市場にあるクッキーは中までしっかり焼き上げたビスケットタイプが主流です。焼きたて感のあるホームメイドタイプのクッキーを生産するノウハウはまだ培われていませんでした。

 外の生地はサックリとしていて、中の生地はしっとりとしている製品設計は、開発に苦慮すると思われましたが、手がかりはすぐ近くにある日本伝統の和菓子のまんじゅうでした。まんじゅうは、外側の生地とあんからできています。別々に仕込みひとつに成形してから蒸します。生地の加工段階についてのアイデアは、まんじゅうにヒントを得たもので、これを裏付けるように原材料には、白あんが含まれています。サックリとした食感の外側が特徴の生地とある程度の水分を残した内側の生地を別々に仕込み、内側を外側の生地で包み込むまんじゅうの構造を採用し、焼いても中の生地がしっとりとした状態になる食感を実現することができました。

 また、生地を2重構造にしたことで、チョコチップの食感が強調されます。ひとつの生地にチョコチップを入れて焼くと固くなってしまいますが、水分を含んだ内側の生地に含めて焼くことで、柔らかい食感を残すことができ、まんじゅうの構造のもうひとつの利点も活かしています。

 専用チョコチップとまんじゅうから手がかりを得た2重構造の生地を生産ラインに乗せ、低温でゆっくり焼き上げると、大きさや形にバラつきが出ます。試行錯誤を重ねた結果、ある程度安定した形状に揃えることに成功しました。

 もっとも、焼き上げたクッキーの大きさが不揃いになることは当初から想定していたことで、カントリーマアムが目指したのは手づくり感のあるクッキーです。手づくりのクッキーに同じ形状がないように、カントリーマアムでも同一形状にはせず不揃いであることに製品価値を見出しています。

 発売すると今まで市場になかった食感だっただけに、消費者から湿気ったクッキーと言われたこともあったようです。当時、クッキーといえば固い食感のものが一般的です。内側がしっとりした食感のクッキーを消費者に浸透させる必要がありました。

 不二家は発売するとアットホームなアメリカの田舎を連想させるテレビコマーシャルを放映しました。アメリカの田舎で婦人が、カントリーマアムを割ってしっとりとした生地を見せる内容で、手づくり風のクッキーを訴求したことにより、外側がサクッとしていて、内側はしっとりしている食感を消費者に伝えることができ、認知度が高まりました。

 その後カントリーマアムブランドから、内側の生地もサクサクとした食感が特徴のカントリーマアムクリスピーを発売しています。製品群の強化は、ブランドの拡張だけではなく、定番品の活性化の意味合いも持ちます。新製品の投入は、定番品を再度知ってもらう機会にもなるからです。

 このような展開が実り、カントリーマアムブランドは、不二家の菓子事業を担うブランドに成長しています。これは、手づくり感にこだわった製品を消費者に提供したいとの思いを持ち、製品改良を続けてきた結果によるものです。

手づくり感のあるクッキーを家庭に

 焼きたての手づくり感のあるクッキーを家庭で手軽に食べてもらいたいとの思いから、不二家は、カントリーマアムに着手しました。外の生地はサックリしていて、中の生地はしっとりしている製品設計は、当初開発に苦慮すると思われました。しかし、手がかりは身近にありました。それは日本伝統の和菓子であるまんじゅうです。

 外はサックリ、中はしっとり仕上げたソフトクッキーというキャッチコピーは、不二家がチョコチップクッキーのカントリーマアムを発売した当時に使用していました。ふたつの食感が楽しめる秘密は、原材料と仕込み方に異なる2種類の生地を使った2重構造にあります。しっとりとした生地をもうひとつの生地で包み込み、低温でじっくり焼き上げます。生産性を考えると手間のかかる製造工程は省きたくなりますが、それでは求める品質が追求できません。惜しまず心血を注いだのは、焼きたての手づくり感のあるクッキーを家庭に届けたいとの思いでした。

 不二家は、キャンディのミルキーやチョコレートのルックチョコレートに続く第3のジャンルを探していました。市場にインパクトを与えられる製品構想を検討していたところ、ヒントは街角にありました。

 当時アメリカで人気となっていた焼きたてクッキーが、日本に上陸し、手づくりクッキーを売るお店が広がりつつありました。ナッツ、ドライフルーツ、チョコレートチップを入れたものなど、さまざまな種類のクッキーが店の棚を飾っています。

 焼きたてのような手づくり感のあるクッキーをつくり、家庭で手軽に食べられるようにする開発プロジェクトが始まった当時、市場にあるクッキーは中までしっかり焼き上げたビスケットタイプが主流です。焼きたて感のあるホームメイドタイプのクッキーを生産するノウハウはまだ培われていませんでした。

生地のアイデアは日本伝統の和菓子まんじゅう

 外の生地はサックリとしていて、中の生地はしっとりとしている製品設計は、開発に苦慮すると思われましたが、手がかりはすぐ近くにある日本伝統の和菓子のまんじゅうでした。まんじゅうは、外側の生地とあんからできています。別々に仕込みひとつに成形してから蒸します。生地の加工段階についてのアイデアは、まんじゅうにヒントを得たもので、これを裏付けるように原材料には、白あんが含まれています。サックリとした食感の外側が特徴の生地とある程度の水分を残した内側の生地を別々に仕込み、内側を外側の生地で包み込むまんじゅうの構造を採用し、焼いても中の生地がしっとりとした状態になる食感を実現することができました。

 もうひとつこだわったのが、チョコチップです。不二家は、ルックチョコレートやアーモンドチョコレートなどさまざまなチョコレートを発売していますが、カントリーマアムでは専用のチョコチップを開発し、自社で製造しています。

 生地自体が甘いため、相性を考慮し、ビター感のあるチョコレートを使用することで存在感を引き立たせるだけでなく、手づくりのような形状にして、手づくり感が出るように工夫しました。

 また、生地を2重構造にしたことで、チョコチップの食感が強調されます。ひとつの生地にチョコチップを入れて焼くと固くなってしまいますが、水分を含んだ内側の生地に含めて焼くことで、柔らかい食感を残すことができ、まんじゅうの構造のもうひとつの利点も活かしています。

 専用チョコチップとまんじゅうから手がかりを得た2重構造の生地を生産ラインに乗せ、低温でゆっくり焼き上げると、大きさや形にバラつきが出ます。試行錯誤を重ねた結果、ある程度安定した形状に揃えることに成功しました。

 もっとも、焼き上げたクッキーの大きさが不揃いになることは当初から想定していたことで、カントリーマアムが目指したのは手づくり感のあるクッキーです。手づくりのクッキーに同じ形状がないように、カントリーマアムでも同一形状にはせず不揃いであることに製品価値を見出しています。

食感の浸透を図る努力

 発売すると今まで市場になかった食感だっただけに、消費者から湿気ったクッキーと言われたこともあったようです。当時、クッキーといえば固い食感のものが一般的です。内側がしっとりした食感のクッキーを消費者に浸透させる必要がありました。

 不二家は発売するとアットホームなアメリカの田舎を連想させるテレビコマーシャルを放映しました。アメリカの田舎で婦人が、カントリーマアムを割ってしっとりとした生地を見せる内容で、手づくり風のクッキーを訴求したことにより、外側がサクッとしていて、内側はしっとりしている食感を消費者に伝えることができ、認知度が高まりました。また、スーパーなどの店頭では、消費者にカントリーマアムを温めてもらうことで、さらに焼きたて感が楽しめる取り組みを地道に行っています。

 発売から数年後には、トレーの中でクッキーが崩れてしまったり、湿気ってしまったりしたため、包装形態を分割トレーから個別包装タイプに変更しました。個装タイプの方が、袋を持ったまま食べられるため、消費者に好まれることが分かったことも、背景にありました。さらに大袋タイプを発売するなど、さまざまな取り組みを行っています。

製品群の強化

 その後カントリーマアムブランドから、内側の生地もサクサクとした食感が特徴のカントリーマアムクリスピーを発売しています。これは、カントリーマアムに専用のチョコチップを使っていることから、チョコとサクッとした食感に特化した製品を発売することで、チョコチップをふんだんに使ったクッキーであることを消費者に認識してもらうためです。

 さらにチョコチップをふんだんに使用したカントリーマアムクリスピーバニラ、チョコチップとホワイトチョコチップを使ったカントリーマアムWチョコを発売しています。

 製品群の強化は、ブランドの拡張だけではなく、定番品の活性化の意味合いも持ちます。新製品の投入は、定番品を再度知ってもらう機会にもなるからです。

 このような展開が実り、カントリーマアムブランドは、不二家の菓子事業を担うブランドに成長しています。市場にない独特の食感で、今では不二家の屋台骨を支えています。これは、手づくり感にこだわった製品を消費者に提供したいとの思いを持ち、製品改良を続けてきた結果によるものです。

まとめ

 焼きたての手づくり感のあるクッキーを家庭で手軽に食べてもらいたいとの思いから、不二家は、カントリーマアムに着手しました。

 焼きたてのような手づくり感のあるクッキーをつくり、家庭で手軽に食べられるようにする開発プロジェクトが始まった当時、市場にあるクッキーは中までしっかり焼き上げたビスケットタイプが主流です。焼きたて感のあるホームメイドタイプのクッキーを生産するノウハウはまだ培われていませんでした。

 外の生地はサックリとしていて、中の生地はしっとりとしている製品設計は、開発に苦慮すると思われましたが、手がかりはすぐ近くにある日本伝統の和菓子のまんじゅうでした。まんじゅうは、外側の生地とあんからできています。別々に仕込みひとつに成形してから蒸します。生地の加工段階についてのアイデアは、まんじゅうにヒントを得たもので、これを裏付けるように原材料には、白あんが含まれています。サックリとした食感の外側が特徴の生地とある程度の水分を残した内側の生地を別々に仕込み、内側を外側の生地で包み込むまんじゅうの構造を採用し、焼いても中の生地がしっとりとした状態になる食感を実現することができました。

 また、生地を2重構造にしたことで、チョコチップの食感が強調されます。ひとつの生地にチョコチップを入れて焼くと固くなってしまいますが、水分を含んだ内側の生地に含めて焼くことで、柔らかい食感を残すことができ、まんじゅうの構造のもうひとつの利点も活かしています。

 専用チョコチップとまんじゅうから手がかりを得た2重構造の生地を生産ラインに乗せ、低温でゆっくり焼き上げると、大きさや形にバラつきが出ます。試行錯誤を重ねた結果、ある程度安定した形状に揃えることに成功しました。

 もっとも、焼き上げたクッキーの大きさが不揃いになることは当初から想定していたことで、カントリーマアムが目指したのは手づくり感のあるクッキーです。手づくりのクッキーに同じ形状がないように、カントリーマアムでも同一形状にはせず不揃いであることに製品価値を見出しています。

 発売すると今まで市場になかった食感だっただけに、消費者から湿気ったクッキーと言われたこともあったようです。当時、クッキーといえば固い食感のものが一般的です。内側がしっとりした食感のクッキーを消費者に浸透させる必要がありました。

 不二家は発売するとアットホームなアメリカの田舎を連想させるテレビコマーシャルを放映しました。アメリカの田舎で婦人が、カントリーマアムを割ってしっとりとした生地を見せる内容で、手づくり風のクッキーを訴求したことにより、外側がサクッとしていて、内側はしっとりしている食感を消費者に伝えることができ、認知度が高まりました。

 その後カントリーマアムブランドから、内側の生地もサクサクとした食感が特徴のカントリーマアムクリスピーを発売しています。製品群の強化は、ブランドの拡張だけではなく、定番品の活性化の意味合いも持ちます。新製品の投入は、定番品を再度知ってもらう機会にもなるからです。

 このような展開が実り、カントリーマアムブランドは、不二家の菓子事業を担うブランドに成長しています。これは、手づくり感にこだわった製品を消費者に提供したいとの思いを持ち、製品改良を続けてきた結果によるものです。

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