【体内ではつくれない】オメガ3系脂肪酸

食品の成分
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脂肪酸の種類

 脂質は、1つのグリセリン(別名グリセロール)という吸湿性が高く甘みのある物質に3つの脂肪酸という炭素と水素、酸素が鎖状につながった物質が結合したトリアシルグリセロールからできています。脂肪酸は、炭素や水素、酸素の組み合わせや結合方法によって、さまざまな脂質の特徴となります。昨今では、「オメガ」や「n」といった呼び方で認知されるようになってきています。脂肪酸の特徴について、ご紹介します。

 オメガ3系の代表的な脂肪酸は、α-リノレン酸です。α-リノレン酸は、人の体内で合成することができない必須脂肪酸です。α-リノレン酸は体内で代謝されて、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)になります。植物油では、えごま油やアマニ油に多く含まれます。えごま油の原材料は、シソ科植物のえごまの種子で、オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸を60%以上含みます。アマニ油は、成熟した亜麻の種子を原材料としています。青魚は、オメガ3系列脂肪酸のEPAやDHAを多く含んでいます。

 オメガ6系の代表的な脂肪酸は、リノール酸です。リノール酸も人の体内で合成することができない必須脂肪酸です。植物油では、コーン油や大豆油などの主成分です。

 オメガ9系の代表的な脂肪酸は、オレイン酸です。オレイン酸は、油から摂取できるほか体内でも合成することが可能です。血中の悪玉コレステロール濃度を下げる効果が報告されています。オリーブオイルに多く含まれています。

 飽和脂肪酸は、炭素と水素、酸素が鎖状につながった脂肪酸内に2重結合もしくは3重結合がない、水素で飽和されている脂肪酸です。代表的な脂肪酸として、ラウリン酸やミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがあります。パーム油やココやラード、バターなどに多く含まれています。

オメガ3系脂肪酸の働き

 体内で合成することができない必須脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸やEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)には、次のような働きがあり、生活習慣病の予防効果が期待されています。厚生労働省も毎日の食生活から摂取することを推奨しています。

血液中の中性脂肪の低下

 オメガ3系脂肪酸には、血液中のLDLコレステロールを抑制し、中性脂肪を下げる作用があります。

血栓や動脈硬化の防止

 オメガ3系脂肪酸には、血液をサラサラにする効果があります。特にEPAには、血液を固まりにくくして、動脈硬化と心筋梗塞を防ぐ効果があります。

血行促進

 DHAは細胞膜リン脂質に組み込まれており、細胞膜の流動性を高めることで、血管の柔軟性や毛細血管での血行を促進します。

認知機能維持

 オメガ3系脂肪酸は、認知症患者における記憶力や日常生活を行う能力の低下を改善または遅延させる可能性が示唆されており、さらなる研究結果が待たれます。

オメガ3系脂肪酸を豊富に含む食品

 オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれる食品は、えごま油やアマニ油のほかにイワシ、サンマ、サバなどの青魚です。トロなど魚介類で脂ののった部位であれば、オメガ3系脂肪酸が多く含まれています。

 イワシやサバの缶詰にもオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれています。オメガ3系脂肪酸は、たんぱく質と一緒に摂取することで、より効率的に吸収されます。

 えごま油やアマニ油やエゴマ油に含まれるオメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸は、体内で代謝されることで、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)になります。EPAやDHAに変わる割合は、5~10%程度とのことです。魚介類からオメガ3系脂肪酸を摂る方が、効率的です。

 また、2015年に食品表示法が施行され、栄養機能食品の成分として、オメガ3系系脂肪酸が追加されています。栄養機能食品は、体の健全な成長や発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給を目的とした食品となります。すでに科学的に根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、 届出をしなくとも、国が定めた表現によって機能を表示することができます。

 オメガ3系脂肪酸の1日あたりの摂取目安は、0.6g~2.0gとなります。

まとめ

 オメガ3系の代表的な脂肪酸は、α-リノレン酸です。α-リノレン酸は、人の体内で合成することができない必須脂肪酸です。α-リノレン酸は体内で代謝されて、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)になります。植物油では、えごま油やアマニ油に多く含まれます。イワシ、サンマ、サバなどの青魚は、オメガ3系列脂肪酸のEPAやDHAを多く含んでいます。トロなど魚介類で脂ののった部位であれば、オメガ3系脂肪酸が多く含まれています。

 オメガ3系脂肪酸は、血液中の中性脂肪の低下や血栓や動脈硬化の防止、血行促進、認知機能維持など生活習慣病を予防する効果が期待され、厚生労働省では毎日の食生活から摂取することを推奨しています。

 また、オメガ3系脂肪酸を配合した栄養補助食品なども市販されています。

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