【禁忌】5大宗教における食のタブー

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 世界5大宗教とは、イスラム教、仏教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を指し、世界人口のおおよそ77%がいずれかを信仰しています。

 宗教によっては、戒律で食べてはいけない食品を定めている場合や宗教が認めた加工過程を経ていないものをダブー視している場合があります。多くの外国人が暮らす都市部のレストランなどでは、こうした宗教に対応するメニューを用意しているところが増加傾向にあります。加工食品おいても、宗教に対応した製品開発を行っています。基礎知識として、宗教上の食に関するタブーをきちんと理解しておきたいところです。

 イスラム教は、 7 世紀初めにモハンマドが預言者として神から授かった宗教です。宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強いです。食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して、非常に気を遣います。イスラム教徒は、食材、料理に付着する血液、調理される厨房と調理器具がイスラム教の教義に則ったものであるかということに対して、非常に敏感です。イスラム教徒が多い国では、イスラム教徒の教義の則った適切な食材を扱い、料理がつくられています。海外から輸入した肉などの食材には、それらがイスラム教の教義に則ったものであることを表すためにハラルマーク(HALAL)を付けてあることが多いです。食の禁止事項としては、豚、アルコール、血液、宗教上の適切な処理が施されていない肉が該当します。イスラム教で適切な処理を施した食材は、ハラルミールと呼ばれ、購入することが可能な食材です。うなぎ、イカ、タコ、貝類、漬け物などの発酵食品については、宗教上の教義で禁じられているわけではありませんが、嫌悪感を示されるので、料理の食材として扱うことは避けます。ウロコのある魚とエビは食べられます。

 仏教は釈迦を開祖として生まれた宗教で、仏となるための教えを説いています。仏教徒の食習慣として、一般に殺生すること、生き物を傷つけることを慎むという意識がみられますが、肉食をする人も多く、同じ仏教徒でも宗派や国などによって、食に対する意識は異なります。食に対する禁止事項としては、一部となりますが肉全般、一部となりますがにんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキが該当します。食に関する禁止事項がみられるのは、一部の僧侶と厳格な信者に限定されます。

 キリスト教は、イエスを救世主とする宗教です。キリスト教徒の食習慣としては、基本的に食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合を除いて、食事は自由です。キリスト教の一部の分派には、食を含めたさまざまな禁止事項を定めている宗派もありますが、少数派です。キリスト教の料理の特徴としては、キリスト教の伝統行事(感謝祭、クリスマス、カーニバルなど)で、七面鳥、羊、タラなどを用いた料理が食べられます。食に対する禁止事項としては、ほとんどありませんが、一部で肉全般、一部でアルコール類、コーヒー、紅茶、お茶が該当します。

 ユダヤ教は、古代イスラエルで発祥し、唯一神ヤハウェを信じる一神教です。ユダヤ教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強く、食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して非常に気を遣います。カシュルートと呼ばれる食事規程が存在し、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。食に対する禁止事項としては、豚、血液、イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類、ウサギ、馬、宗教上の適切な処理が施されていない肉などが該当します。ユダヤ教で適切な処理を施した食材は、コーシャミール(KOSHER)と呼ばれます。

 ヒンドゥー教は、 古代インドのバラモン教と民間信仰が融合しながら形づくられたもので、インドの宗教、社会制度、文化などが総合されたものを意味します。ヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、口に入れる食材、食べ方、食事を食べる時間や時期に対して、非常に気を遣います。食に対する禁止事項としては、肉全般、牛、豚、魚介類全般、卵、生もの、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキなどが該当します。肉食をする人もいますが、その場合にも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。

世界5大宗教とその戒律

 世界5大宗教とは、イスラム教、仏教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を指し、世界人口のおおよそ77%がいずれかを信仰しています。

 宗教によっては、戒律で食べてはいけない食品を定めている場合や宗教が認めた加工過程を経ていないものをダブー視している場合があります。宗教や信仰に対して寛容な日本人は、このような宗教上の慣習をあまり意識していませんが、多くの外国人が暮らす都市部のレストランなどでは、こうした宗教に対応するメニューを用意しているところが増加傾向にあります。加工食品おいても、宗教に対応した製品開発を行っています。

 基礎知識として、宗教上の食に関するタブーをきちんと理解しておきたいところです。

イスラム教と食習慣

 イスラム教は、 7 世紀初めにモハンマドが預言者として神から授かった宗教です。唯一神アラーを信じる一神教で、コーランを聖典としています。キリスト教、仏教とともに3大宗教の 1 つに数えられています。イスラム教は、スンニ派とシーア派の 2 つに大きく分類され、スンニ派における信仰の基本は、6信(唯一神アラー、天使、啓典、預言者、終末と来世、天命)を信じること、実行すべき基本的義務として5行(信仰告白、礼拝、喜捨、断食、メッカへの巡礼)にまとめられています。シーア派では5信10行と呼ばれています。

 イスラム教徒は、世界各地に居住しており、特にアジア、北アフリカ、中東における人数が多いとされています。中東諸国は、国民の大多数がイスラム教徒で、世界におけるイスラム教徒の人数では、アジアが多数を占めています。

  宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強いです。食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して、非常に気を遣います。イスラム教徒は、食材、料理に付着する血液、調理される厨房と調理器具がイスラム教の教義に則ったものであるかということに対して、非常に敏感です。多くのイスラム教徒は、厨房と調理器具まで厳密に確認しようとはしませんが、敬虔なイスラム教徒には豚を扱った厨房と調理器具で調理される料理を拒否する人もいます。料理の食材が明らかでない場合には、その料理を食べることを拒否する人も多く、食事は信徒に対する神からの報酬と考えられており、食事を楽しむことを重視します。

 イスラム教徒の食事回数は、通常1 日 3 回で、メインとなる食事は国や地域における食生活の傾向が影響します。豚肉などの禁止されている食材が混入することへの不安から、外食を避ける人もいます。

 イスラム暦 の9 月に 1 ヶ月にわたるラマダンと呼ばれる断食期間があります。断食期間中は、夜明けから夜になるまで、水も含め一切の飲食が禁じられています。この期間の食事は、通常夜明け前と夜の 2 回です。断食期間中ということもあり、夜の食事は、普段の食事よりもたくさんの量の食事を食べます。

 イスラム教徒が多い国では、イスラム教徒の教義の則った適切な食材を扱い、料理がつくられています。扱われている食材や料理の形態は、国や地域によってさまざまです。また、海外から輸入した肉などの食材には、それらがイスラム教の教義に則ったものであることを表すためにハラルマーク(HALAL)を付けてあることが多いです。

 食の禁止事項としては、豚、アルコール、血液、宗教上の適切な処理が施されていない肉が該当します。ブイヨン、ゼラチン、ソース、スープなどには豚の肉や骨が使われている可能性があることから、注意する必要があります。アルコールは、料理酒、調味料などさまざまな料理に使われることがあり、こちらも注意が必要です。イスラム教で適切な処理を施した食材は、ハラルミールと呼ばれ、購入することが可能な食材です。

 うなぎ、イカ、タコ、貝類、漬け物などの発酵食品については、宗教上の教義で禁じられているわけではありませんが、嫌悪感を示されるので、料理の食材として扱うことは避けます。ウロコのある魚とエビは食べられます。

 ハラルの屠殺方法としては、イスラム教徒が屠殺を行うことが条件で、動物の顔をメッカの方向に向け、アッラーファクバル(アッラーは偉大なり)と唱え、鋭い刃で頚動脈を切ります。なお、首を全部切り落とすとハラルではなくなります。血液は全て抜き、血液を出し切るまで肉を使ってはなりません。血液が全て抜け、真っ白になった肉がハラルミールとして扱われます。

 イスラム法は食事のマナーも定めており、食事前と食後には祈りの言葉を唱えます。また、食事をする場合、相手に料理を手渡す場合、給仕する場合には右手を使います。

仏教と食習慣

 仏教は釈迦を開祖として生まれた宗教で、仏となるための教えを説いています。イスラム教、キリスト教とともに3大宗教の ひとつに数えられます。仏教は上座部仏教と大乗仏教の 2 つに大きく分類されます。紀元前後に大乗仏教が生じ、それ以前の伝統仏教は上座部仏教と呼ばれるようになりました。

 仏教徒は世界各地に居住していますが、その 90%以上はアジアに分布しています。仏教徒が多い国は、中国、日本、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、カンボジア、韓国などです。上座部仏教は、タイ、ミャンマー、スリランカ、カンボジアなど、南アジアを中心に広まっています。大乗仏教は、中国、台湾、韓国、日本、ベトナム、チベット、モンゴルなどを中心に広まっています。日本には6 世紀に伝来しました。

 仏教徒の食習慣として、一般に殺生すること、生き物を傷つけることを慎むという意識がみられますが、肉食をする人も多く、同じ仏教徒でも宗派や国などによって、食に対する意識は異なります。僧侶などの厳格な仏教徒は、食事そのものを日常の修養のひとつとして捉えています。

  厳格な僧侶の場合は、教義に則った食事を摂ります。上座部仏教の僧侶は、通常1 日 2 食で、午前中に食事を済ませて、午後以降は食事を口にしません。仏教の料理のひとつに精進料理があります。

 食に対する禁止事項としては、一部となりますが肉全般、一部となりますがにんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキが該当します。食に関する禁止事項がみられるのは、一部の僧侶と厳格な信者に限定されます。大乗仏教では、肉食を避ける傾向が強いです。また、厳格な仏教徒には、においが強く修行の妨げになるとの理由から、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキを食べることが禁じられています。上座部仏教では、肉を食べてもよいとされています。ただし、僧侶のために生き物を殺して肉を提供することは禁じられています。

 僧侶などの厳格な仏教徒は、食事そのものを日常の修養のひとつとして捉えており、宗派によって差異はありますが、食事作法が存在します。一般的には、食前と食後に祈りの言葉が捧げられます。また禅宗では、食事の献立、調理方法、食事をする際の心構えや作法などについての細かい決まりがあります。

キリスト教と食習慣

 キリスト教は、イエスを救世主とする宗教です。聖典は聖書(旧訳及び新訳)です。イスラム教、仏教とともに3大宗教の ひとつに数えられます。キリスト教はさまざまな教派に分かれており、代表的なものに、カトリック教会、東方正教会、プロテスタント教会などが存在します。

 キリスト教徒は世界各地に居住しており、特にヨーロッパ、アメリカ大陸における人数が多いとされています。東方正教会の信者はロシア、東欧諸国、ギリシアに多く存在します。

 キリスト教徒の食習慣としては、基本的に食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合を除いて、食事は自由です。キリスト教の一部の分派には、食を含めたさまざまな禁止事項を定めている宗派もありますが、少数派です。キリスト教徒に特有の食事パターンというものは特にみられません。

 キリスト教の料理の特徴としては、キリスト教の伝統行事(感謝祭、クリスマス、カーニバルなど)で、七面鳥、羊、タラなどを用いた料理が食べられます。

 食に対する禁止事項としては、ほとんどありませんが、一部で肉全般、一部でアルコール類、コーヒー、紅茶、お茶が該当します。

 テーブルマナーは、一般に食前と食後に感謝の祈りを捧げるなどの食事作法がみられます。

ユダヤ教と食習慣

 ユダヤ教は、古代イスラエルで発祥し、唯一神ヤハウェを信じる一神教です。ユダヤ人を神から選ばれた選民とみなし、救世主メシアの到来を信じています。モーセの律法トーラー(キリスト教の旧約聖書中のモーセ5書)、律法タルムードなどの聖典があります。

 ユダヤ教を信仰する人とその子孫がユダヤ人と呼ばれるが、厳密な定義は困難です。ユダヤ教は大きく 3 つの宗派に分けることができます。厳格なユダヤ教徒は外見に特徴があって、黒服と黒の山高帽を身につけ、ひげともみあげを生やしており、食事の規程も厳格に守っています。現代社会に合わせて、食事の自由を認めて生活する改革派やその中間の保守派がいます。

 ユダヤ教徒は、イスラエル、アメリカ、ロシアなど世界各国に存在しています。ユダヤ料理の食材が入手しやすい地域にまとまって住む傾向が強いです。

 ユダヤ教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強く、食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して非常に気を遣います。カシュルートと呼ばれる食事規程が存在し、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。食べることが適当か不明な食材は、ユダヤの宗教指導者に相談して、判断を下してもらいます。食に対して禁欲的であることが精神的だとは考えず、むしろ心のこもったご馳走が宗教的な境地を高めると考え、断食の後の食事などを大切にします。

 日常の食事パターンとしては、カシュルートに則った食材を選び、律法に定められた作法に基づいて食事を摂ります。土曜の安息日や祝祭日には食べる料理が決まっています。ユダヤ教には年 6 回の断食日が存在し、一切の飲食が禁じられています。

 ユダヤ料理の特徴として、カシュルートに則った食材を使用した料理となります。チキンスープ、マスなどのすり身に卵や玉ねぎを混ぜて作った団子、豆や肉をはじめとしたさまざまな煮込み、かぶと人参のシロップ漬けなどが食べられます。

 食に対する禁止事項としては、豚、血液、イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類、ウサギ、馬、宗教上の適切な処理が施されていない肉などが該当します。ブイヨン、ゼラチン、ソースには豚の肉や骨が使われており、調理時に注意する必要があります。ユダヤ教で適切な処理を施した食材は、コーシャミール(KOSHER)と呼ばれます。

  食事の際には手を洗い、感謝の祈りを捧げるなど、律法によって食事の作法が定められています。

ヒンドゥー教と食習慣

 ヒンドゥー教は、 古代インドのバラモン教と民間信仰が融合しながら形づくられたもので、インドの宗教、社会制度、文化などが総合されたものを意味します。ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの3神を重要視しています。輪廻と解脱の思想を根本とします。

 インド社会においては身分制度のカーストが今も残っており、バラモン(司祭)、クシャトリヤ(王族)、バイシャ(庶民)、シュードラ(隷民)の 4 つを基礎に、現在では 2000 以上のカーストが存在すると言われています。カースト内の団結は強く、カーストごとに共通の習慣を持ち、職業、飲食、結婚などに関する厳格な規制が存在しています。なお、インド憲法ではカーストが否定されています。

 ヒンドゥー教徒はインド及びネパールに多数存在します。

 ヒンドゥー教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守します。ヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、口に入れる食材、食べ方、食事を食べる時間や時期に対して、非常に気を遣います。肉食と菜食の境界が非常に強く意識されており、ベジタリアンと非ベジタリアンを厳格に区別します。異なるカーストと一緒に食事をすることも忌避されます。不浄は血液や唾液で感染するものと考えられ、食器も使い捨てのものが最も清浄だと考えられています。不浄の対象は、カーストや地域で異なり、絶対的な基準は存在しません。不浄を浄化するための方法として、菜食、断食、沐浴、ヨガが行われ、高位のカーストや社会的地位の高い人ほど肉食を避ける傾向が強くなります。規制の度合いが厳格であるほど、浄性が高いと考えられています。

 日常の食事パターンとしては、外食は同じ調理器具で肉を扱っている可能性も否定できないため、家庭で安心して食べることを選択する人が多数派です。特定の宗教の祝日や特定の曜日に断食します。

 食に対する禁止事項としては、肉全般、牛、豚、魚介類全般、卵、生もの、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキなどが該当します。乳製品はたくさん食べます。高位のカーストや社会的地位の高い人ほど肉食を避ける傾向が強くなります。厳格なヒンドゥー教徒は、肉類を料理した調理器具が使われることを忌避する人もいます。肉食をする人もいますが、その場合にも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。牛は神聖な動物として崇拝され、牛を食べることは禁忌とされます。豚は不浄な動物とみなされ、基本的に食べることはありません。魚介類全般を忌避する場合、かつお節の出汁も対象であり、注意が必要です。この場合は、昆布の出汁などで代用します。ブイヨン、ゼラチンには、牛や豚などの肉や骨が使われていることから、調理時に注意する必要があります。

 テーブルマナーとして、自分の皿に盛られたものは、不浄が感染しないように、決して他人に取り分けません。共用の皿から取り分ける場合には、自分のスプーンが共用の皿に触れないように気をつけます。他人と飲み物を共有する場合には、容器に口をつけてはいけません。食前と食後には手を洗い、口をすすぎます。 食事をする場合、相手に料理を手渡す場合、給仕する場合には右手を使います。

まとめ

 世界5大宗教とは、イスラム教、仏教、キリスト教、ユダヤ教、ヒンドゥー教を指し、世界人口のおおよそ77%がいずれかを信仰しています。

 宗教によっては、戒律で食べてはいけない食品を定めている場合や宗教が認めた加工過程を経ていないものをダブー視している場合があります。多くの外国人が暮らす都市部のレストランなどでは、こうした宗教に対応するメニューを用意しているところが増加傾向にあります。加工食品おいても、宗教に対応した製品開発を行っています。基礎知識として、宗教上の食に関するタブーをきちんと理解しておきたいところです。

 イスラム教は、 7 世紀初めにモハンマドが預言者として神から授かった宗教です。宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強いです。食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して、非常に気を遣います。イスラム教徒は、食材、料理に付着する血液、調理される厨房と調理器具がイスラム教の教義に則ったものであるかということに対して、非常に敏感です。イスラム教徒が多い国では、イスラム教徒の教義の則った適切な食材を扱い、料理がつくられています。海外から輸入した肉などの食材には、それらがイスラム教の教義に則ったものであることを表すためにハラルマーク(HALAL)を付けてあることが多いです。食の禁止事項としては、豚、アルコール、血液、宗教上の適切な処理が施されていない肉が該当します。イスラム教で適切な処理を施した食材は、ハラルミールと呼ばれ、購入することが可能な食材です。うなぎ、イカ、タコ、貝類、漬け物などの発酵食品については、宗教上の教義で禁じられているわけではありませんが、嫌悪感を示されるので、料理の食材として扱うことは避けます。ウロコのある魚とエビは食べられます。

 仏教は釈迦を開祖として生まれた宗教で、仏となるための教えを説いています。仏教徒の食習慣として、一般に殺生すること、生き物を傷つけることを慎むという意識がみられますが、肉食をする人も多く、同じ仏教徒でも宗派や国などによって、食に対する意識は異なります。食に対する禁止事項としては、一部となりますが肉全般、一部となりますがにんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキが該当します。食に関する禁止事項がみられるのは、一部の僧侶と厳格な信者に限定されます。

 キリスト教は、イエスを救世主とする宗教です。キリスト教徒の食習慣としては、基本的に食に関する禁止事項はほとんどありません。宗教儀式や断食を行う場合を除いて、食事は自由です。キリスト教の一部の分派には、食を含めたさまざまな禁止事項を定めている宗派もありますが、少数派です。キリスト教の料理の特徴としては、キリスト教の伝統行事(感謝祭、クリスマス、カーニバルなど)で、七面鳥、羊、タラなどを用いた料理が食べられます。食に対する禁止事項としては、ほとんどありませんが、一部で肉全般、一部でアルコール類、コーヒー、紅茶、お茶が該当します。

 ユダヤ教は、古代イスラエルで発祥し、唯一神ヤハウェを信じる一神教です。ユダヤ教徒の食習慣としては、宗教が生活の土台となっており、食生活を含め、個人の宗教や信条を遵守する傾向が強く、食事の規制事項があるため、口に入れる食材に対して非常に気を遣います。カシュルートと呼ばれる食事規程が存在し、食べてよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。食に対する禁止事項としては、豚、血液、イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類、ウサギ、馬、宗教上の適切な処理が施されていない肉などが該当します。ユダヤ教で適切な処理を施した食材は、コーシャミール(KOSHER)と呼ばれます。

 ヒンドゥー教は、 古代インドのバラモン教と民間信仰が融合しながら形づくられたもので、インドの宗教、社会制度、文化などが総合されたものを意味します。ヒンドゥー教では食事の規制事項があるため、口に入れる食材、食べ方、食事を食べる時間や時期に対して、非常に気を遣います。食に対する禁止事項としては、肉全般、牛、豚、魚介類全般、卵、生もの、にんにく、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキなどが該当します。肉食をする人もいますが、その場合にも食べる対象は、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。

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