【陰陽五行】漢方における病因と基礎理論

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漢方の病因

 漢方の病因について、もっとも古い体系は「素問」です。この体系を整理したのは中国宋代の陳無擇(ちんむたく)です。病因をその種類によって、外因、内因、不内外因に分類しました。これを3因説と言い、現代の中医学や日本漢方における病因論の基本となっています。

 外因とは、風、寒、暑、湿、燥、熱の6つの気候変化のことで、これらの気候変化に生体が対応できないときに発病すると考えています。

 内因とは、怒、喜、思、憂、驚、悲、恐の7つの感情変化のことで、激しい感情変化に身体が対応できないときは、体内から発病すると考えています。

 不内外因とは、外因にも内因にも分類しがたいもので、飲食の不摂生、労働過多、外傷などを指します。

 明代後半になると、これら以外に今で言う伝染性熱性病を示す概念が現れました。外因によって引き起こされる病にこれらの感染症を加えたものを外感病と言い、内因によって引き起こされる病は内傷病と言います。他の病因としては、両親から受け継いだ遺伝的要因も含めた先天的生命力や生まれた後に食べ物や運動、養生によって身につけた生命力の衰えなどが病因と考えられる場合もあります。

漢方の「証」

 西洋医学の病名療法や対症療法に対して、漢方治療の要点は、日本漢方においては随証療法であり、中医学においては弁証論治と呼ばれているもので、いずれもいかに証を正しく把握するかにあります。

 歴史的に多くの議論がなされてきた証の概念をひとことで表現することは困難ですが、おおよそ人の体は、いわばブラックボックスのようなものであり、何か病変があったからと言って、いちいち解剖することはできません。しかし、何らかの病変が起これば、必ずその原因に対して、平衡を保とうとする力が体内に生じます。この生命力を漢方では正気(せいき)と言います。すなわち、漢方では病気を原因と正気の抗争と捉え、抗争があれば必ず身体に種々の自覚症状となって現れると考えるのです。これらの症状とその変化の軽重から体内の抗争の状態を推理し、抽象化して掌握することを「証をつかむ」または「弁証する」と言います。つまり、証とは抽象化された病体内の抗争の本質であり、これをつかむことが漢方診断のカギとなります。

漢方基礎理論

 漢方の基礎理論としては、陰陽論と五行説があります。

 陰陽は、その発生の起源から陰陽論として発展したのは、孫臏(そんぴん)の著した孫臏兵法からです。

 陰陽思想は、古代中国思想の要であり、広範囲にわたる意味を持ちます。陰陽の基本は万物の質と能を意味しますが、同時に万物の持つ正反両面の相対性も示しています。万物はすべて陰陽2種の側面を持っています。天を陽とすれば地は陰となります。昼を陽とすれば夜は陰となります。太陽を陽とすれば月は陰となります。火を陽とすれば水は陰となります。動を陽とすれば静は陰となります。これらは互いに相対的に存在している陰陽ですが、同一物中にも陰陽は存在します。人体については、上部は陽で下部は陰となり、左半身は陽で右半身は陰となります。また、万物の本体は陰であり、機能は陽となります。心臓の場合、心臓そのものは陰であり、拍動は陽となります。

 このようにすべての陰陽は相対的なものです。このような観点に立てば中医学の基礎である八綱(陰陽、虚実、表裏、寒熱)は、すべて陰陽を置き換えたものに過ぎません。

 人体の陰陽としては、構成成分の骨や血液、津液(水)、臓腑などは陰とし、生理機能を陽とします。陰陽にはそれぞれ不足もしくは過剰な状態があり、病症と深い関わりがあります。

 五行説の五材は、自然界にある素材としての木、火、土、金、水です。次に万物を構成する要素としての木、火、土、金、水が考えられました。さらにこれらの五つの要素が相互に影響し合うという考えのもと、五行という名称が登場しました。また、あらゆる物はこの五行に分類され、その性質や相互関係に五行の影響が及ぶとされました。これらを総称して五行説と呼びます。

 五行には以下のような意味付けがあります。木は草木が芽を出し、万物が生じる時期であり、季節は春を象徴しています。五臓では肝臓にあたります。火は火が燃えている様を示し、その性質は熱であり、万物が長じる時期で、季節は夏を象徴しています。五臓では心臓にあたります。土は万物を育てる母なる大地を意味しており、四季のすべてに関わりを持っています。五臓では脾臓にあたります。金は金属の示す堅固さや鋭さ、輝きを意味し、金属は人がつくり出したものであるので、秋の豊穣や収穫を象徴しています。五臓では肺にあたります。水は湧き出て流れる水を意味し、これは地の中にあって生命の水となり、やがて万物を生み出す源となります。季節は冬を象徴し、五臓では腎臓にあたります。

まとめ

 漢方の病因については、その種類によって、外因、内因、不内外因に分類されます。外因とは、風、寒、暑、湿、燥、熱の6つの気候変化のことで、これらの気候変化に生体が対応できないときに発病すると考えています。内因とは、怒、喜、思、憂、驚、悲、恐の7つの感情変化のことで、激しい感情変化に身体が対応できないときは、体内から発病すると考えています。不内外因とは、外因にも内因にも分類しがたいもので、飲食の不摂生、労働過多、外傷などを指します。

 漢方治療の要点は、いかに証を正しく把握するかにあります。何らかの病変が起これば、必ずその原因に対して、平衡を保とうとする力が体内に生じます。この生命力を漢方では正気(せいき)と言い、漢方では病気を原因と正気の抗争と捉え、抗争があれば必ず身体に種々の自覚症状となって現れると考えます。これらの症状とその変化の軽重から体内の抗争の状態を推理し、抽象化して掌握することを「証をつかむ」と言います。

 漢方の基礎理論としては、陰陽論と五行説があります。陰陽の基本は万物の質と能を意味し、同時に万物の持つ正反両面の相対性も示しています。五行説は万物を構成する要素としての木、火、土、金、水です。これらの五つの要素は、相互に影響し合うと考えられています。

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