【多糖類】食材のネバネバやヌルヌルの正体とその働き

食品の成分
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 食材に含まれるネバネバやヌルヌルの由来となる粘性物質は、食材ごとにいろいろな種類があり、それぞれが健康の維持に役立つとして、注目されています。

 ネバネバやヌルヌルの食材が持つ適度なとろみは、のどごしを良くし、食欲を促すことで、疲労回復の効果が期待できます。また、加熱により粘性が変わるなど、いろいろな食感を生み出します。

 ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、山芋、オクラ、納豆などの粘り気の強い食材のヌメリのもととなる成分です。ムチンは、優れた保水力を持つことで知られています。涙は、油層、水層、ムチン層の3層によって構成されています。水層を油層とムチン層で挟みこむことによって、水分を角膜に密着させ、蒸発を防ぎ、目の潤いを保つ働きを担っています。また、ムチンには粘膜を保護する作用があります。胃の粘膜にはムチンが含まれているため、強い酸性を持つ胃酸から守る機能を果たしています。消化器官の粘膜のほかに鼻や口などの粘膜にもムチンが含まれています。ムチンは、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ抗ウイルス作用を発揮します。ムチンは熱に弱い性質があるため、食材からムチンを摂取する際には加熱しすぎないように注意する必要があります。

 フコイダンは多糖類で、昆布、ワカメ、もずく、ひじきなどの海藻に含まれ、ネバネバした性質を有しています。人の体には細菌やウイルスから守るために免疫機能が備わっていますが、フコイダンは、常に体内を監視し、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を、活性化させる働きがあります。また、フコイダンは、花粉症や鼻炎などのアレルギーの症状を改善する効果があります。さらにフコイダンは水溶性食物繊維のため、腸内で水分を抱え込み、余分なコレステロール、糖質を吸着し体外へ排出する働きや整腸作用などが報告されています。フコイダンは熱に安定なため、味噌汁に入れることなど加熱調理して食べることができます。

 アルギン酸は、昆布、ワカメ、ヒジキ、もずくなどに含まれる多糖類の1種で、海藻のぬめり成分です。アルギン酸は、主に褐藻類から抽出されます。アルギン酸はそのままでは水に溶けない物質です。水溶性のアルギン酸としては、アルギン酸カリウムなどがあります。海藻のぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。高血圧の原因のひとつとして、体内のナトリウム量の増加があることから、ナトリウムを排出する働きのあるアルギン酸は血圧を下げる効果があります。水溶性のアルギン酸カリウムは、ぬめりにより余分なコレステロールを包みこんで体外に排出する作用を持ちます。アルギン酸を摂取することで、長時間にわたり満腹感を感じることができ、体内にほとんど吸収されることがないため、摂取カロリーを下げる効果があります。アルギン酸は食物繊維の1種ので、便秘を改善し腸内環境を整える効果があります。アルギン酸は、水溶性及び不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持つため、便秘を改善し、腸内の環境を整える効果があります。アルギン酸は熱に弱いため、食品などへは熱を加えずに添加されます。

食材のネバネバやヌルヌルの正体

 食材に含まれるネバネバやヌルヌルの由来となる粘性物質は、食材ごとにいろいろな種類があり、それぞれが健康の維持に役立つとして、注目されています。

 山芋、オクラ、納豆などに含まれるムチンは、ムコ多糖たんぱく質と糖たんぱく質の混合物です。ムコ多糖たんぱく質のムコは、ラテン語で動物の粘液の意味です。細胞と細胞をつなぐ保水力を持ち、胃の粘膜を保護します。

 昆布、わかめ、もずくなどのヌメリ成分は、水溶性食物繊維のフコイダン、アルギン酸で、特にフコイダンはさまざまな健康効果が期待されている物質です。

 ネバネバやヌルヌルの食材が持つ適度なとろみは、のどごしを良くし、食欲を促すことで、疲労回復の効果が期待できます。また、加熱により粘性が変わるなど、いろいろな食感を生み出します。

ムチンとその働き

 ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、山芋、オクラ、納豆などの粘り気の強い食材のヌメリのもととなる成分です。

 ムチンは食材に含まれるだけではなく、人の体内にも存在している成分で、唾液や胃液といった分泌物、胃腸の粘液、涙などにムチンが含まれています。

 ムチンは、優れた保水力を持つことで知られています。涙は、油層、水層、ムチン層の3層によって構成されています。水層を油層とムチン層で挟みこむことによって、水分を角膜に密着させ、蒸発を防ぎ、目の潤いを保つ働きを担っています。

 また、ムチンには粘膜を保護する作用があります。胃の粘膜にはムチンが含まれているため、強い酸性を持つ胃酸から守る機能を果たしています。消化器官の粘膜のほかに鼻や口などの粘膜にもムチンが含まれています。ムチンは、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ抗ウイルス作用を発揮します。

 さらに、ムチンはたんぱく質の吸収を促進する働きがあります。たんぱく質は、筋肉、臓器、皮膚、髪、爪などの体の組織をつくる原材料となるだけではなく、エネルギー源にもなります。

 ムチンは熱に弱い性質があるため、食材からムチンを摂取する際には加熱しすぎないように注意する必要があります。ムチンは水溶性の成分であることから、加熱調理するとムチンが食材の外へ出てきます。そのため、まるごと食べられるように調理することで、効率良くムチンを摂取することができます。

 ムチンは、山芋、オクラ、納豆だけでなく、サトイモ、ナメコ、モロヘイヤ、レンコン、明日葉などにも含まれています。

フコイダンとその働き

 フコイダンは、フコースという糖を主成分とした多糖類で、昆布、ワカメ、もずく、ひじきなどの海藻に含まれ、ネバネバした性質を有しています。フコイダンは、海藻の表面を覆い、激しい潮の流れや刺激から海藻を守っています。海中の微生物に食べられないようにする役目も担っています。

 人の体には細菌やウイルスから守るために免疫機能が備わっていますが、フコイダンは、常に体内を監視し、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を、活性化させる働きがあります。また、フコイダンは、花粉症や鼻炎などのアレルギーの症状を改善する効果があります。さらにフコイダンは、胃潰瘍などが発生する原因のひとつとされるピロリ菌を吸いつけて、排出します。ピロリ菌は、1度感染するとずっと住み着いてします厄介な菌です。フコイダンは、胃潰瘍などで生じた胃粘膜の炎症部分を修復する働きもあります。フコイダンは水溶性食物繊維のため、腸内で水分を抱え込み、余分なコレステロール、糖質を吸着し体外へ排出する働きや整腸作用などが報告されています。

 フコイダンは熱に安定なため、味噌汁に入れることなど加熱調理して食べることができます。酢の物で食べると、やわらかくなり、吸収されやすくなります。

アルギン酸とその働き

 アルギン酸は、昆布、ワカメ、ヒジキ、もずくなどに含まれる多糖類の1種で、海藻のぬめり成分です。アルギン酸は乾燥藻体の10~50%を占めていることから、海藻の主成分で、天然の食物繊維として知られています。

 アルギン酸は、海中に含まれるさまざまなミネラルを取り込み、ゼリー状態となって細胞の間隙を満たしています。

 アルギン酸は、主に褐藻類から抽出されます。海藻類は、世界中で3,000種類以上あると言われており、原材料として、昆布のような大型の海藻が使用されます。抽出されたアルギン酸は、増粘剤などとして食品添加物、機能性食品、医薬品、工業製品の原材料として利用されています。なお、アルギン酸はお腹の調子を整える食品として、厚生労働省許可の特定保健用食品(トクホ)にも指定されています。

 アルギン酸の安全性は、WHOにも評価されており、もっとも安全な物質のひとつとされています。

 アルギン酸はそのままでは水に溶けない物質です。ナトリウムやカリウムなどと結びつき、水に溶けるようになります。水溶性のアルギン酸としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどがあります。海藻のぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。水溶性のアルギン酸カリウムは、胃でアルギン酸とカリウムに分解されます。カリウムは体内に吸収されて利用され、アルギン酸はナトリウムと結合しアルギン酸ナトリウムとなって体外に排出されます。

 高血圧の原因のひとつとして、体内のナトリウム量の増加があることから、ナトリウムを排出する働きのあるアルギン酸は血圧を下げる効果があります。水溶性のアルギン酸カリウムは、ぬめりにより余分なコレステロールを包みこんで体外に排出する作用を持ちます。アルギン酸を摂取することで、長時間にわたり満腹感を感じることができ、体内にほとんど吸収されることがないため、摂取カロリーを下げる効果があります。アルギン酸は食物繊維の1種ので、便秘を改善し腸内環境を整える効果があります。人の腸内には100兆個以上の腸内細菌が棲みついており、善玉菌と悪玉菌が常に勢力範囲を争っています。善玉菌が優勢を保っているときは腸の調子が良く、劣勢になったときは便秘などの症状が現れます。悪玉菌は、腸内で毒素を発生させることにより、肌荒れや体調不良などを引き起こします。アルギン酸は、水溶性及び不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持つため、便秘を改善し、腸内の環境を整える効果があります。

 アルギン酸は熱に弱いため、食品などへは熱を加えずに添加されます。

まとめ

 食材に含まれるネバネバやヌルヌルの由来となる粘性物質は、食材ごとにいろいろな種類があり、それぞれが健康の維持に役立つとして、注目されています。

 ネバネバやヌルヌルの食材が持つ適度なとろみは、のどごしを良くし、食欲を促すことで、疲労回復の効果が期待できます。また、加熱により粘性が変わるなど、いろいろな食感を生み出します。

 ムチンは、糖とたんぱく質が結合することによってできる多糖類で、山芋、オクラ、納豆などの粘り気の強い食材のヌメリのもととなる成分です。ムチンは、優れた保水力を持つことで知られています。涙は、油層、水層、ムチン層の3層によって構成されています。水層を油層とムチン層で挟みこむことによって、水分を角膜に密着させ、蒸発を防ぎ、目の潤いを保つ働きを担っています。また、ムチンには粘膜を保護する作用があります。胃の粘膜にはムチンが含まれているため、強い酸性を持つ胃酸から守る機能を果たしています。消化器官の粘膜のほかに鼻や口などの粘膜にもムチンが含まれています。ムチンは、風邪やインフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ抗ウイルス作用を発揮します。ムチンは熱に弱い性質があるため、食材からムチンを摂取する際には加熱しすぎないように注意する必要があります。

 フコイダンは多糖類で、昆布、ワカメ、もずく、ひじきなどの海藻に含まれ、ネバネバした性質を有しています。人の体には細菌やウイルスから守るために免疫機能が備わっていますが、フコイダンは、常に体内を監視し、ウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を、活性化させる働きがあります。また、フコイダンは、花粉症や鼻炎などのアレルギーの症状を改善する効果があります。さらにフコイダンは水溶性食物繊維のため、腸内で水分を抱え込み、余分なコレステロール、糖質を吸着し体外へ排出する働きや整腸作用などが報告されています。フコイダンは熱に安定なため、味噌汁に入れることなど加熱調理して食べることができます。

 アルギン酸は、昆布、ワカメ、ヒジキ、もずくなどに含まれる多糖類の1種で、海藻のぬめり成分です。アルギン酸は、主に褐藻類から抽出されます。アルギン酸はそのままでは水に溶けない物質です。水溶性のアルギン酸としては、アルギン酸カリウムなどがあります。海藻のぬめりは、水溶性のアルギン酸カリウムによるものです。高血圧の原因のひとつとして、体内のナトリウム量の増加があることから、ナトリウムを排出する働きのあるアルギン酸は血圧を下げる効果があります。水溶性のアルギン酸カリウムは、ぬめりにより余分なコレステロールを包みこんで体外に排出する作用を持ちます。アルギン酸を摂取することで、長時間にわたり満腹感を感じることができ、体内にほとんど吸収されることがないため、摂取カロリーを下げる効果があります。アルギン酸は食物繊維の1種ので、便秘を改善し腸内環境を整える効果があります。アルギン酸は、水溶性及び不溶性ともに、腸内に溜まった不要な老廃物を体外へ排出する働きを持つため、便秘を改善し、腸内の環境を整える効果があります。アルギン酸は熱に弱いため、食品などへは熱を加えずに添加されます。

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