【山積】今日の日本の農業が抱える問題

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 日本の農業を取り巻く問題は、数多くあります。まず農業を始めるにあたって問題となることは、新規就農が困難なことです。農地の確保が難しく、なかなか農地を使うことができません。農業を始めるときには、農具や農業用機械が欠かせません。地方自治体が農業を支援するために、新規農業従事者に支援金を支給していますが、まかなえる金額ではありません。農業を始めても、すぐに収入を得られるわけではありません。農作物を育てる時間が必要で、収穫した農作物の販路を確立しなければ収入を得ることはできません。初期費用が高額で、収益が出るまでに時間がかかる点が、農業に新規参入するときの障害になっています。

 農林水産省の調査によると、農業従事者は2020年で136万人です。5年前と比べて40万人も減りました。平均年齢は5年前より0.7歳上がり67.8歳となっています。高齢化が進み、後継者もいないとなれば、田畑を放置せざるを得ません。

 耕作放棄地は、耕されることなく放置された田畑のことを指し、日本全国の耕作放棄地は、埼玉県に匹敵する面積があります。平成26年に行われた調査によると、耕作放棄地の原因としては、高齢化、労働力不足、そのほかにも土地は持っているが農業従事者ではない人の増加、農作物価格の低迷などがあげられています。

 日本の供給熱量ベースの食料自給率は、昭和40年では73%ありましたが、平成では50%を切るなど、長期的に低下傾向が続いており、近年はおおよそ40%で推移しています。食の進展に伴う加工や業務用の需要の高まりに、国内の農業が十分対応し切れていないことも影響しています。

 輸入農産物の生産に必要な農地は、おおよそ1,200万haと試算され、日本の農地面積のおおよそ2.5倍に相当する農地を海外に依存した形になっています。不測の事態に備え、平素から農地や農業用水を確保しつつ、農業の担い手の育成・確保、農業技術水準の向上等を図り、食料供給力を強化しておく必要があります。

農業の新規参入の難しさ

 日本の農業を取り巻く問題は、数多くあります。まず農業を始めるにあたって問題となることは、新規就農が困難なことです。農地の確保が難しく、何らかの伝手がなければ、なかなか農地を使うことができません。農地を確保できたとしても、水利権の問題もあります。

 農業を始めるときには、農具や農業用機械が欠かせません。トラクターを始めとした農業用の機械を準備するとなると、中古のもので揃えたとしても数百万円以上は必要になります。地方自治体が農業を支援するために、新規農業従事者に支援金を支給していますが、支援金をもってしても、まかなえる金額ではありません。

 農業を始めても、すぐに収入を得られるわけではありません。農作物を育てる時間が必要で、収穫した農作物の販路を確立しなければ収入を得ることはできません。やっとの思いで農作物をつくっても、想定していた量ができないこと、販売できる品質を満たしていないこと、あるいは災害などで出荷できなくなることで、その分収益は下がります。

 ほかにも、農業にはさまざまな維持費が必要となります。種や苗はもとより、農薬や肥料、ハウス栽培では光熱費などが重くのしかかってきます。

 初期費用が高額で、収益が出るまでに時間がかかる点が、農業に新規参入するときの障害になっています。

農業従事者の減少

 農林水産省の調査によると、農業従事者は2020年で136万人です。5年前と比べて40万人も減りました。平均年齢は5年前より0.7歳上がり67.8歳となっています。高齢化が進み、後継者もいないとなれば、田畑を放置せざるを得ません。

 離農者は年々増加しています。多くの農家は経営が厳しく、あまり利益が出ないため農業を止め、別の方法で生計を立てる人が増えています。元々農家であっても、農業を継がずに企業に就職したりする人は、以前からたくさんいます。農家でも、農業は利益が得られにくく、身体的にも厳しいので継いでほしくないと考える人が一定数います。

 日本全体の高齢化もあって、農業関係者の平均年齢は上がっています。体が不自由となり、農地の切り盛りができなくなった結果、農業を諦める人が多くいます。既存の農家から離農者が相次ぐ状況が長年継続しているため、結果的に農業従事者の数は減少が続いています。

 近年では、技術の向上により、海外から輸入されてくる農作物の品質がよく、国内産よりも安価で手に入ることが多くなっています。そのため、国産の農作物も価格競争にまきこまれ、希望する金額では販売できないことも見受けられます。農業を取り囲む環境はどんどん厳しくなっています。

 このような厳しい環境も、農業従事者の減少に拍車をかけています。

耕作放棄地の増加

 耕作放棄地は、耕されることなく放置された田畑のことを指し、日本全国の耕作放棄地は、埼玉県に匹敵する面積があります。平成26年に行われた調査によると、耕作放棄地の原因としては、高齢化、労働力不足、そのほかにも土地は持っているが農業従事者ではない人の増加、農作物価格の低迷などがあげられています。

 耕作放棄地がもたらす問題の中には、ほかの農地への悪影響を与えるものもあげられます。耕作放棄地は、農業の大敵である病害虫や雑草が発生する原因となります。農地として利用されている間は、収穫する農作物に病害虫がつかないよう、農作物の成長が邪魔されないよう、病害虫や雑草への対策に気を使います。しかし、放棄されてしまった農地は野放しの状態です。あっという間に雑草が生い茂り、農業に害をもたらす病害虫が棲みやすい環境になってしまいます。

食料自給率の低下とその背景

 日本の供給熱量ベースの食料自給率は、昭和40年では73%ありましたが、平成では50%を切るなど、長期的に低下傾向が続いており、近年はおおよそ40%で推移しています。現在の食料自給率水準について、日本人の70%は低いと認識しています。

 食料自給率の低下は、食生活が大きく変化し、国内で自給可能な米の消費が減少する一方、国土条件の制約などから国内では生産が困難な飼料穀物(とうもろこし等)や油糧種子(大豆等)を使用する畜産物や油脂類の消費が増加したことが影響しています。

 また、食の進展に伴う加工や業務用の需要の高まりに、国内の農業が十分対応し切れていないことも影響しています。

 輸入農産物の生産に必要な農地は、おおよそ1,200万haと試算され、日本の農地面積のおおよそ2.5倍に相当する農地を海外に依存した形になっています。

 万が一、不測の事態が発生して食料輸入が途絶するなどの事態に陥ったとき、肉や野菜から熱量効率の高いいも類などの作物に転換することで、国内生産のみで1人1日当たり2,020kcalの熱量供給が可能との試算結果があります。この熱量で最低限必要な熱量は確保されますが、食事の中身は現在とかけ離れたものとなります。不測の事態に備え、平素から農地や農業用水を確保しつつ、農業の担い手の育成・確保、農業技術水準の向上等を図り、食料供給力を強化しておく必要があります。

まとめ

 日本の農業を取り巻く問題は、数多くあります。まず農業を始めるにあたって問題となることは、新規就農が困難なことです。農地の確保が難しく、なかなか農地を使うことができません。農業を始めるときには、農具や農業用機械が欠かせません。地方自治体が農業を支援するために、新規農業従事者に支援金を支給していますが、まかなえる金額ではありません。農業を始めても、すぐに収入を得られるわけではありません。農作物を育てる時間が必要で、収穫した農作物の販路を確立しなければ収入を得ることはできません。初期費用が高額で、収益が出るまでに時間がかかる点が、農業に新規参入するときの障害になっています。

 農林水産省の調査によると、農業従事者は2020年で136万人です。5年前と比べて40万人も減りました。平均年齢は5年前より0.7歳上がり67.8歳となっています。高齢化が進み、後継者もいないとなれば、田畑を放置せざるを得ません。

 耕作放棄地は、耕されることなく放置された田畑のことを指し、日本全国の耕作放棄地は、埼玉県に匹敵する面積があります。平成26年に行われた調査によると、耕作放棄地の原因としては、高齢化、労働力不足、そのほかにも土地は持っているが農業従事者ではない人の増加、農作物価格の低迷などがあげられています。

 日本の供給熱量ベースの食料自給率は、昭和40年では73%ありましたが、平成では50%を切るなど、長期的に低下傾向が続いており、近年はおおよそ40%で推移しています。食の進展に伴う加工や業務用の需要の高まりに、国内の農業が十分対応し切れていないことも影響しています。

 輸入農産物の生産に必要な農地は、おおよそ1,200万haと試算され、日本の農地面積のおおよそ2.5倍に相当する農地を海外に依存した形になっています。不測の事態に備え、平素から農地や農業用水を確保しつつ、農業の担い手の育成・確保、農業技術水準の向上等を図り、食料供給力を強化しておく必要があります。

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