【植物と動物の両方の性質を持つ】ミドリムシ

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 ミドリムシ(ユーグレナ/Euglena)は、5億年以上前に誕生した原生動物で、植物と動物の両方の性質を持った微細藻類です。淡水に生息し、大きさは直径100~500µmで、ワカメやコンブなどと同じ藻の一種です。ミドリムシは、植物のように葉緑体を持ち、光合成で栄養分をつくり出し、動物のように鞭毛で動き回ることができます。ミドリムシは、植物と動物両方の特徴を兼ね備えた微生物です。機能性食品などに使われているミドリムシのほとんどは、ユーグレナグラシリスという種類です。

 ミドリムシのユーグレナグラシリスは、13種類のビタミン、9種類のミネラル、9種類の必須アミノ酸と非必須アミノ酸、12種類の不飽和脂肪酸、ルテインやゼアキサンチンなどのポリフェノール、β-グルカンなどを含んでいます。これらの栄養素の中には、多くのビタミンや必須アミノ酸をはじめ体内ではつくることができないものが含まれます。豊富な栄養素を持つミドリムシは、ビタミンやミネラルをバランス良く含み、これらの栄養素は互いに関わりあって機能するので、特定の成分だけを摂取するよりも、効果的と言えます。

 ミドリムシは、ワカメやコンブのような磯の風味があります。飲料や錠剤などさまざまな食品に配合されるため、単体での味は分かりにくいです。

 調理方法によっても吸収率は異なりますが、ミドリムシの消化率は、納豆と同様に90%以上です。ミドリムシは、植物細胞と異なり、細胞壁がないことが理由です。野菜や果物などの植物細胞には細胞壁があり、人間は細胞壁を分解する酵素を持っていないため、なかなか消化できません。ミドリムシは、細胞膜だけなので、効率的に栄養素を消化できることになります。

ミドリムシ

 ミドリムシ(ユーグレナ/Euglena)は、5億年以上前に誕生した原生動物で、植物と動物の両方の性質を持った微細藻類です。淡水に生息し、大きさは直径100~500µmで、ワカメやコンブなどと同じ藻の一種です。

 ミドリムシは、植物のように葉緑体を持ち、光合成で栄養分をつくり出し、動物のように鞭毛で動き回ることができます。ミドリムシは、植物と動物両方の特徴を兼ね備えた微生物です。世界中で100以上の種類が存在し、種類によって大きさや栄養素が異なり、環境もさまざまです。

 機能性食品などに使われているミドリムシのほとんどは、ユーグレナグラシリスという種類です。2005年に東大発ベンチャー企業である株式会社ユーグレナが、世界で初めてミドリムシの石垣島での屋外大量培養に成功したことで、機能性食品をはじめさまざまな食品や化粧品に使われるようになりました。

ミドリムシの栄養素

 ミドリムシのユーグレナグラシリスは、植物の栄養素と動物の栄養素を併せ持っています。

 β-カロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸などのビタミン類、マンガン、銅、鉄、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、カリウム、リン、ナトリウムなどのミネラル、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、スレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン、トリプトファンといった必須アミノ酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸、そのほかにゼアキサンチン、クロロフィル、ルテイン、γ-アミノ酪酸(GABA)、スペルミジン、そしてミドリムシ特有のパラミロン(β-グルカン)などを含んでいます。

 これらの栄養素の中には、多くのビタミンや必須アミノ酸をはじめ体内ではつくることができないものが含まれます。

 ビタミン類の役割として、β-カロテンは、体内でビタミンAとなり、成長、生殖機能維持、上皮細胞の正常化、視覚に関係します。ビタミンB1は、糖質の代謝がスムーズに行われるために不可欠な補酵素として働きます。不足するとエネルギー代謝が不十分な状態に陥ることで、疲労物質がたまり、めまい、食欲不振、疲労、全身の倦怠感などをきたします。ビタミンB2は、特に脂質の代謝と深く関わっており、皮脂の分泌を調節する作用があります。不足すると、口の周辺の炎症、口角炎、口唇炎、舌炎ができやすくなります。ビタミンB6は、たんぱく質がアミノ酸に分解する過程に関与する補酵素です。ヘモグロビンの合成に必要な酵素の補酵素でもあります。細胞の新陳代謝を促し、発育、生殖機能の活性化などの働きがあります。ビタミンB12は、赤血球の生成促進、たんぱく質や核酸、神経中のリン脂質の生合成に関わっています。植物には含まれていません。ナイアシンは、特に糖質代謝で重要な働きをしています。皮膚の発育、消化器系の働きを促進、解毒作用や老化防止作用もあります。不足すると、全身疲労、口内炎など皮膚粘膜の障害、食欲不振、消化不良、下痢などの胃腸障害を引き起こします。葉酸は、赤血球の合成に関与し、貧血を予防します。パントテン酸は、糖質、たんぱく質、脂質の代謝に不可欠です。不足すると末梢神経障害を起こします。精製された食品では、含有量が少なくなります。ビオチンは、アミノ酸や脂肪酸の代謝に関与しています。人の場合、腸内細菌によってつくられるため、不足することはあまりありません。ビタミンCは、抗酸化作用のほか、コラーゲンの生成を促進、風邪の予防などの働きがあります。ビタミンDは、腸管からのカルシウムとリンの吸収を促進し、骨の再構築を調整する働きがあり、骨や歯の成長には欠かせません。欠乏すると、成人では骨軟化症の原因となります。ビタミンEは、抗酸化作用に加え、筋肉の緊張を和らげ、末端の血液循環をよくします。ビタミンKは、血液の凝固を助け、血液凝固障害による出血を予防します。通常、腸内細菌によりつくられます。

 ミネラルは、機能維持や調整の役割を果たします。たんぱく質の構成成分であるアミノ酸は体をつくります。肉や魚介類、卵、大豆のアミノ酸スコアは100ですが、ミドリムシのアミノ酸スコアは83、クロレラは54となります。不飽和脂肪酸は悪玉コレステロールの抑制や過酸化脂質の発生を予防する効果があります。

 豊富な栄養素を持つミドリムシは、ビタミンやミネラルをバランス良く含み、これらの栄養素は互いに関わりあって機能するので、特定の成分だけを摂取するよりも、効果的と言えます。

ミドリムシの風味

 ミドリムシは、ワカメやコンブのような磯の風味があります。

 ミドリムシは、青汁や果物などの飲料に配合されることが多く、ミドリムシ単体としての味は分かり難いかもしれません。また、カプセルや糖衣でコーティングされた錠剤として市販されているため、味を感じることなく、飲みこんでしまいます。

 添加量にも左右されますが、クッキーなどの生地に練り込むと、ミドリムシの風味はあまり感じられないようです。そのほかにもミドリムシを練り込んだパン、ムース、ラーメンなどがあります。

ミドリムシの消化吸収性

 食材の場合、調理方法によっても吸収率は異なりますが、ミドリムシの消化率は、納豆と同様に90%以上です。納豆は、納豆菌による発酵でたんぱく質などが分解され、アミノ酸やペプチドとなることから、消化吸収が高まります。ミドリムシは、植物細胞と異なり、細胞壁がないことが理由です。野菜や果物などの植物細胞には細胞壁があり、人間は細胞壁を分解する酵素を持っていないため、なかなか消化できません。ミドリムシは、細胞膜だけなので、効率的に栄養素を消化できることになります。クロレラには細胞壁が存在しますが、細胞壁を破砕する工程を経ることで、消化吸収性を高めています。

 なお、食物繊維は、食材に含まれる人の消化酵素によって消化されにくい難消化性成分の総称です。その多くは植物や藻類の細胞壁を構成する成分であり、腸内細菌のエサとなります。熟した果物などに含まれている水溶性食物繊維は、食後の血糖値の急激な上昇の抑制、コレステロールの吸収を抑制する作用が報告されています。野菜や穀類、豆類に含まれている不溶性食物繊維は、大腸のぜん動運動を促します。食物繊維の効用として、脂質異常症予防、便秘予防、肥満予防、糖尿病予防、脂質代謝を調節して動脈硬化の予防などが確認されています。

まとめ

 ミドリムシ(ユーグレナ/Euglena)は、5億年以上前に誕生した原生動物で、植物と動物の両方の性質を持った微細藻類です。淡水に生息し、大きさは直径100~500µmで、ワカメやコンブなどと同じ藻の一種です。ミドリムシは、植物のように葉緑体を持ち、光合成で栄養分をつくり出し、動物のように鞭毛で動き回ることができます。ミドリムシは、植物と動物両方の特徴を兼ね備えた微生物です。機能性食品などに使われているミドリムシのほとんどは、ユーグレナグラシリスという種類です。

 ミドリムシのユーグレナグラシリスは、13種類のビタミン、9種類のミネラル、9種類の必須アミノ酸と非必須アミノ酸、12種類の不飽和脂肪酸、ルテインやゼアキサンチンなどのポリフェノール、β-グルカンなどを含んでいます。これらの栄養素の中には、多くのビタミンや必須アミノ酸をはじめ体内ではつくることができないものが含まれます。豊富な栄養素を持つミドリムシは、ビタミンやミネラルをバランス良く含み、これらの栄養素は互いに関わりあって機能するので、特定の成分だけを摂取するよりも、効果的と言えます。

 ミドリムシは、ワカメやコンブのような磯の風味があります。飲料や錠剤などさまざまな食品に配合されるため、単体での味は分かりにくいです。

 調理方法によっても吸収率は異なりますが、ミドリムシの消化率は、納豆と同様に90%以上です。ミドリムシは、植物細胞と異なり、細胞壁がないことが理由です。野菜や果物などの植物細胞には細胞壁があり、人間は細胞壁を分解する酵素を持っていないため、なかなか消化できません。ミドリムシは、細胞膜だけなので、効率的に栄養素を消化できることになります。

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