【仮想と現実の融合】デジタルトランスフォーメーション

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 企業がICTを利用して、事業の業績や対象範囲を根底から変化させることが、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation/DT/DX)という概念です。少子高齢化による労働力不足が問題視される今日、DXへの期待は高まるばかりです。

 江崎グリコは、ビスコ、アーモンドチョコレート、ポッキーなど消費者にとって身近な製品が多い一方、企業を対象にしたB2Bビジネスも手がけています。そのひとつが、江崎グリコの製品ラインアップを企業のブランディングや販売促進に活用してもらう事業です。以前は営業担当者が収集した名刺情報、電話による問い合わせ、代理店からの紹介などをExcelでリスト化し、営業担当者が見本を持参して訪問することで、新規開拓を行うというスタイルでした。しかし、これでは顧客の購買タイミングに合わせた営業活動が困難で、採用に至らないことも多々ありました。このような状況を変えるきっかけとなったのが、マーケティングオートメーション(Marketing Automation/MA)の導入でした。マーケティングオートメーションとは、企業のマーケティング活動において、以前は人手で繰り返し実施していた定型的な業務、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう複雑な処理や大量の作業を自動化し、効率を高める仕組みのことです。旧来Websiteからの売上は、ほとんど得られていませんでしたが、MAを導入することで、顧客情報や購買のタイミングなどさまざまなことが見える化され、これによって顧客を十分と理解した上で接触することで、商談化に至る確率も高まりました。並行して、ナーチャリング(Nurturing)に使用するコンテンツも充実させました。ナーチャリングとは、育成することを意味します。コンテンツとして、ノベルティ成功談などのダウンロード資料を作成し、Websiteに掲載します。これらのコンテンツをダウンロードする際には、会社名や氏名、E-mailアドレスの入力が必要になります。このような取り組みの結果、Website経由でのリードの状況を的確に把握できるようになり、Websiteからのリード流入量や成約額も増大しています。

 味の素の製造現場では、設置した多種多様なセンサーから取得した温度、成分の濃度といったデータ、過去に蓄積された生産効率の指標データをもとに、熟練者の経験に頼っていた製造プロセスを制御するようなモデルを構築し、高度な品質管理手法を生み出しています。研究開発では、取得したビッグデータを自動で収集する仕組みを構築し、機械学習で最適化することにより、研究開発を加速させています。さらにSNSを駆使して多様化する消費者のニーズに対応しています。

デジタルトランスフォーメーション

 企業がICTを利用して、事業の業績や対象範囲を根底から変化させることが、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation/DT/DX)という概念です。AI、RPAなどの技術とともに注目されています。少子高齢化による労働力不足が問題視される今日、DXへの期待は高まるばかりです。

 ICT専門調査会社のIDCは、DXを「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラ ットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、 新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。この定義は、経済産業省のDX推進のためのガイドラインでも引用されています。

食品メーカーにおけるデジタルトランスフォーメーション

・江崎グリコ

 売上高3,500億円を超える総合食品メーカーの江崎グリコは、菓子、アイスクリーム、飲料、乳製品、食品原材料など幅広い事業を展開しています。「おいしさと健康」をコーポレートメッセージとして掲げ、「ココロとカラダの健康」の実現に貢献できる製品を提供し続けています。

 製品としては、ビスコ、アーモンドチョコレート、ポッキーなど消費者にとって身近なものが多い一方、企業を対象にしたB2Bビジネスも手がけています。そのひとつが、グリコの製品を企業キャンペーンに活用してもらう事業です。

 江崎グリコには幅広い層に喜ばれる製品ラインアップがありますが、これらを企業のブランディングや販売促進に活用してもらう事業にて、オリジナル名入りのノベルティは、グリコ製品ならではの美味しさと安心感で、かなりの出荷実績があります。用途としては、イベントの景品、PR向け粗品、挨拶用の景品などです。

 以前は営業担当者が収集した名刺情報、電話による問い合わせ、代理店からの紹介などをExcelでリスト化し、営業担当者が見本を持参して訪問することで、新規開拓を行うというスタイルでした。しかし、これでは顧客の購買タイミングに合わせた営業活動が困難で、採用に至らないことも多々ありました。そのため、営業担当者の新規開拓意欲も低迷していました。

 このような状況を変えるきっかけとなったのが、マーケティングオートメーション(Marketing Automation/MA)の導入でした。マーケティングオートメーションとは、企業のマーケティング活動において、以前は人手で繰り返し実施していた定型的な業務、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう複雑な処理や大量の作業を自動化し、効率を高める仕組みのことです。また、そのような自動化を実現するソフトウェアを指す場合もあります。従来、B2Bビジネスは、新規顧客の開拓にしろ、既存顧客への販売にしろ、営業組織中心で推進されることが大半でした。しかし、近年、BtoB分野においても、デジタルマーケティングの手法を取り入れることで、商談発掘のプロセスをシステム化し、コスト削減と売上アップの両方を狙うケースが増えています。

 旧来Websiteからの売上は、ほとんど得られていませんでしたが、MAを導入することで、顧客情報や購買のタイミングなどさまざまなことが見える化され、これによって顧客を十分と理解した上で接触することで、商談化に至る確率も高まりました。

 並行して、ナーチャリング(Nurturing)に使用するコンテンツも充実させました。ナーチャリングとは、育成することを意味します。リード(見込み客)ナーチャリングと呼ばれることもあるように、集客されたリードの興味や関心を高める各種施策がナーチャリングです。ナーチャリングは、B2Bマーケティングにおけるデマンドジェネレーションの一要素です。デマンドジェネレーションとは、案件を創出することを指しており、リードジェネレーション(集客)、リードナーチャリング(育成)、リードクオリフィケーション(選別)の3つのプロセスから成り立っています。ナーチャリングとは、リードを営業への引き渡すための重要なプロセスです。ただ集客して売り込むのではなく、その間にコンテンツを提供して、顧客の興味や関心を高めることで成約率を向上させる戦略が、ナーチャリングとなります。

 コンテンツとして、ノベルティ成功談などのダウンロード資料を作成し、Websiteに掲載します。これらのコンテンツをダウンロードする際には、会社名や氏名、E-mailアドレスの入力が必要になります。これらの情報は、一元管理されリード化されると共に、最初の顧客アプローチであるお礼メールが送信されます。その後、改めてほかのコンテンツへの誘導メールを送信します。このコンテンツのダウンロードでは、業種やノベルティ利用時期などの情報を入力してもらいます。さらにリードの業種に対応した事例コンテンツに誘導するメールを送信します。事例コンテンツにアクセスしたリードに対しては、後日製品カタログへ誘導するメールを送信し、これに反応したリードが営業担当者に引き渡されるようになっています。

 このような取り組みの結果、Website経由でのリードの状況を的確に把握できるようになり、Websiteからのリード流入量や成約額も増大しています。なお、Webサイトから流入したリードは、シナリオにもとづいたコミュニケーションを実行することで、成約に至りやすい質の高いリードへとナーチャリングすることができます。

 そのほかに江崎グリコでは、災害対策用備蓄食品事業も手がけています。リードは病院、自治会、行政機関、企業となり、ノベルティ事業と同様にWebsiteからの引き合いが増えています。また、備蓄食品は定期的な入替需要が発生します。メール配信などで定期的にアプローチすることで、安定した受注を見込むことができます。

・味の素

 製造現場では、設置した多種多様なセンサーから取得した温度、成分の濃度といったデータ、過去に蓄積された生産効率の指標データをもとに、熟練者の経験に頼っていた製造プロセスを制御するようなモデルを構築し、高度な品質管理手法を生み出しています。これらの解析によって、安心安全を維持したまま、これまで把握できていなかったより効率が高い生産に繋がる要因を見出し、新たな製造方法を確立することで、生産性が向上しています。

 研究開発では、計測技術やロボット技術を導入し、さまざまな実験データを高速かつ大量に取得できるようになりました。これらのビッグデータを自動で収集する仕組みを構築し、機械学習で最適化することにより、知能を持ったラボラトリーオートメーション技術を開発し、研究開発を加速させています。

 また、SNSを駆使して多様化する消費者のニーズに対応しています。インターネット上にある生活者の情報と、購買履歴などの外部情報を組み合わせて分析し、生活者の意識や行動を多面的にとらえます。

まとめ

 企業がICTを利用して、事業の業績や対象範囲を根底から変化させることが、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation/DT/DX)という概念です。少子高齢化による労働力不足が問題視される今日、DXへの期待は高まるばかりです。

 江崎グリコは、ビスコ、アーモンドチョコレート、ポッキーなど消費者にとって身近な製品が多い一方、企業を対象にしたB2Bビジネスも手がけています。そのひとつが、江崎グリコの製品ラインアップを企業のブランディングや販売促進に活用してもらう事業です。以前は営業担当者が収集した名刺情報、電話による問い合わせ、代理店からの紹介などをExcelでリスト化し、営業担当者が見本を持参して訪問することで、新規開拓を行うというスタイルでした。しかし、これでは顧客の購買タイミングに合わせた営業活動が困難で、採用に至らないことも多々ありました。このような状況を変えるきっかけとなったのが、マーケティングオートメーション(Marketing Automation/MA)の導入でした。マーケティングオートメーションとは、企業のマーケティング活動において、以前は人手で繰り返し実施していた定型的な業務、人手では膨大なコストと時間がかかってしまう複雑な処理や大量の作業を自動化し、効率を高める仕組みのことです。旧来Websiteからの売上は、ほとんど得られていませんでしたが、MAを導入することで、顧客情報や購買のタイミングなどさまざまなことが見える化され、これによって顧客を十分と理解した上で接触することで、商談化に至る確率も高まりました。並行して、ナーチャリング(Nurturing)に使用するコンテンツも充実させました。ナーチャリングとは、育成することを意味します。コンテンツとして、ノベルティ成功談などのダウンロード資料を作成し、Websiteに掲載します。これらのコンテンツをダウンロードする際には、会社名や氏名、E-mailアドレスの入力が必要になります。このような取り組みの結果、Website経由でのリードの状況を的確に把握できるようになり、Websiteからのリード流入量や成約額も増大しています。

 味の素の製造現場では、設置した多種多様なセンサーから取得した温度、成分の濃度といったデータ、過去に蓄積された生産効率の指標データをもとに、熟練者の経験に頼っていた製造プロセスを制御するようなモデルを構築し、高度な品質管理手法を生み出しています。研究開発では、取得したビッグデータを自動で収集する仕組みを構築し、機械学習で最適化することにより、研究開発を加速させています。さらにSNSを駆使して多様化する消費者のニーズに対応しています。

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