【細胞内にある不要な物質を分解する】オートファジー

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 オートファジーとは、細胞内にある不要な物質を分解する仕組みです。自分で自分の細胞を分解することから、自食作用ともいわています。

 オートファジーの役割のひとつは、細胞内部の状態を一定に保つこと、つまり恒常性の維持です。細胞内には、生命を維持するために必要となる酵素をはじめとしたたんぱく質、ミトコンドリアなどの細胞小器官が存在しています。これらが古くなる、あるいは傷つくことで細胞内に蓄積されると、細胞は障害を受け、体にさまざまな悪影響を及ぼします。このような不要になった物質の蓄積を防ぐために、細胞内部を分解する働きがオートファジーです。

 オートファジーは、生きていくために必要な栄養素を生み出す作用もあります。代表的な栄養素としては、たんぱく質です。実際に体内でつくられているたんぱく質は、栄養素として吸収したたんぱく質よりも多いとされています。つまり、食事だけではたんぱく質の合成を補うことができません。実際のところ、不足分はオートファジーが細胞内のたんぱく質を分解することで、まかなわれています。

 病原体などの異物が体内に侵入したときに、その異物と特異的に反応する物質として体内に抗体を産生する細胞があります。このような免疫として働く細胞が機能を果たすためには、オートファジーが必要となります。また、オートファジーは、細胞に感染した細菌やウイルスなどの病原体を殺す作用も持っています。さらにオートファジーは、免疫の過剰反応である炎症を抑え、免疫の異常で起こる病気を防止する働きもあります。

 オートファジーを生活習慣によって活性化する方法としては、有酸素運動、バランスのとれた食事、食事の時間を空けて空腹時間を設けること、適度な睡眠をはじめとした規則正しい生活です。オートファジーに関与する食品として、納豆に多く含まれるスペルミジンは、オートファジーを活性化することが明らかとなっています。

オートファジー

 オートファジーとは、細胞内にある不要な物質を分解する仕組みです。自分で自分の細胞を分解することから、自食作用ともいわています。

 オートファジーは人だけでなく、すべての真核生物、すなわち、核を持つ細胞からなる生物にみられる仕組みです。

オートファジーの仕組みと役割

 オートファジーの役割のひとつは、細胞内部の状態を一定に保つこと、つまり恒常性の維持です。

 細胞内には、生命を維持するために必要となる酵素をはじめとしたたんぱく質、ミトコンドリアなどの細胞小器官が存在しています。細胞小器官とは、細胞の内部で特に分化した形態や機能を持つ構造の総称です。オルガネラとも呼ばれます。 細胞小器官が高度に発達していることが、真核細胞を原核細胞から区別している特徴のひとつです。これらが古くなる、あるいは傷つくことで細胞内に蓄積されると、細胞は障害を受け、体にさまざまな悪影響を及ぼします。

 このような不要になった物質の蓄積を防ぐために、細胞内部を分解する働きがオートファジーです。

 細胞内部に不要となった物質がみつかると、それを包み込むための隔離膜が出現します。この隔離膜は、不要な物質を包み込むように大きく進展し、オートファゴソームと呼ばれる2重構造の球体のようなものになります。それから、オートファゴソームは細胞内部にあるリソソームと呼ばれる細胞小器官と融合します。リソソームには分解酵素が含まれており、オートファゴソームと融合することで内部の老廃物を分解します。これがオートファジーです。リソソーム自身が障害を受けたときにもオートファジーが働きます。

 リソソームの分解酵素でも分解することができない物質として、痛風の原因となる尿酸塩結晶があげられます。尿酸塩結晶は、針状に尖った形をしているため、尿酸塩結晶に触れたリソソームは傷つきます。そうなると、リソソームの傷ついた部分から分解酵素が細胞内へ流出し、細胞内の正常な物質も分解されてしまいます。

 そのため、リソソームの損傷を感知すると、隔離膜が出現し、オートファゴソームが形成されます。オートファゴソームが傷ついたリソソームを包み込み、細胞内にこれ以上分解酵素が拡散しないようにします。オートファジーは、あらゆる障害から細胞内部の物質を守る働きもあります。

 オートファジーは、生きていくために必要な栄養素を生み出す作用もあります。代表的な栄養素としては、たんぱく質です。人は食事からたんぱく質を摂取し、消化管でアミノ酸やペプチドまで分解してから吸収します。吸収したアミノ酸をもとに体内でたんぱく質を合成します。実際に体内でつくられているたんぱく質は、栄養素として吸収したたんぱく質よりも多いとされています。つまり、食事だけではたんぱく質の合成を補うことができません。

 実際のところ、不足分はオートファジーが細胞内のたんぱく質を分解することで、まかなわれています。オートファジーは、細胞内の不要なたんぱく質を分解するだけでなく、それをアミノ酸としてリサイクルする働きもあります。このアミノ酸が結合してたんぱく質が合成され、体内で利用されます。つまり、オートファジーには細胞内の不要物を除去する役割だけではなく、リサイクルして栄養源を生み出す役割を担っています。

オートファジーによる免疫機能の向上

 病原体などの異物が体内に侵入したときに、その異物と特異的に反応する物質として体内に抗体を産生する細胞があります。このような免疫として働く細胞が機能を果たすためには、オートファジーが必要となります。

 オートファジーは、細胞に感染した細菌やウイルスなどの病原体を殺す作用も持っています。つまり、オートファジーそのものが、細胞に備わった免疫機能です。

 オートファジーは、免疫細胞が異物を認識する仕組みにも関係しています。さらにオートファジーは、免疫の過剰反応である炎症を抑え、免疫の異常で起こる病気を防止する働きもあります。

オートファジーを活性化させる方法

 免疫機能の向上、そして健康維持のため、オートファジーを活性化するにはどうすればいいのでしょうか。ましてやオートファジーは、5歳を過ぎると低下するといわれており、なおさらです。

 オートファジーを生活習慣によって活性化する方法としては、有酸素運動、バランスのとれた食事、食事の時間を空けて空腹時間を設けること、適度な睡眠をはじめとした規則正しい生活です。オートファジーは、健康的な生活を送ることで、活性化することができます。

 オートファジーに関与する食品として、納豆にはポリミアンという物質の1種となるスペルミジンが多く含まれています。スペルミジンは、オートファジーを活性化することが明らかとなっています。また、スペルミジンは、ヨーグルトや味噌などの発酵食品にも含まれています。

 なお、オートファジーは単純に活性化しすぎてもよくないとのことです。リソソームの数は限られているので、オートファジーは細胞内で一定のレベルでしか活動ができません。つまり、老廃物が多く次から次へとオートファジーを行わなくてはいけない状況では、分解の段階で速度が停滞し、オートファジーが追いつかない状態になります。その結果、細胞内にはオートファジーにより分解されない老廃物が蓄積することになります。

まとめ

 オートファジーとは、細胞内にある不要な物質を分解する仕組みです。自分で自分の細胞を分解することから、自食作用ともいわています。

 オートファジーの役割のひとつは、細胞内部の状態を一定に保つこと、つまり恒常性の維持です。細胞内には、生命を維持するために必要となる酵素をはじめとしたたんぱく質、ミトコンドリアなどの細胞小器官が存在しています。これらが古くなる、あるいは傷つくことで細胞内に蓄積されると、細胞は障害を受け、体にさまざまな悪影響を及ぼします。このような不要になった物質の蓄積を防ぐために、細胞内部を分解する働きがオートファジーです。

 オートファジーは、生きていくために必要な栄養素を生み出す作用もあります。代表的な栄養素としては、たんぱく質です。実際に体内でつくられているたんぱく質は、栄養素として吸収したたんぱく質よりも多いとされています。つまり、食事だけではたんぱく質の合成を補うことができません。実際のところ、不足分はオートファジーが細胞内のたんぱく質を分解することで、まかなわれています。

 病原体などの異物が体内に侵入したときに、その異物と特異的に反応する物質として体内に抗体を産生する細胞があります。このような免疫として働く細胞が機能を果たすためには、オートファジーが必要となります。また、オートファジーは、細胞に感染した細菌やウイルスなどの病原体を殺す作用も持っています。さらにオートファジーは、免疫の過剰反応である炎症を抑え、免疫の異常で起こる病気を防止する働きもあります。

 オートファジーを生活習慣によって活性化する方法としては、有酸素運動、バランスのとれた食事、食事の時間を空けて空腹時間を設けること、適度な睡眠をはじめとした規則正しい生活です。オートファジーに関与する食品として、納豆に多く含まれるスペルミジンは、オートファジーを活性化することが明らかとなっています。

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