【主張と融和】中東や地中海、中南米などのスパイス

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中東やアフリカのスパイシー料理

 サウジアラビアから北アフリカにかけて使用されているスパイスには、はっきりとした傾向があります。羊肉を食べる習慣があり、砂漠の厳しい気候条件でも食が進むように香りの強いスパイスが好まれています。

 これらの地域で代表的な料理といえば、麦を発酵させてつくるクスクスです。これに肉や野菜を数々のスパイスで煮込んだソースをかけて食べます。唐辛子のピリッとした辛味とクミンの風味が効いた料理です。羊のシチューやシシカバブという焼肉料理にも、羊肉特有のにおいに負けない香りを持つクミンやカルダモンが使われています。

 モロッコやアルジェリアなどの北アフリカ地方一帯では、白ごまとタイム、ウルシ科の多年生低木で熟成した果実を収穫し乾燥させ、粉末にして使用するス―マックを配合したミックススパイスがつくられています。ミートボールや野菜にかけたり、ペースト状にしてパンにぬって食べます。同じアフリカ大陸でも、南下するとスパイス事情が異なります。まず唐辛子をよく使うようになりますケニアの主食はとうもろこしの団子とトマトの煮込みですが、味付けは塩と唐辛子だけでシンプルです。エチオピアでは、唐辛子やジンジャー、クローブ、シナモン、カルダモン、ペッパーなどをブレンドしたベレベレというミックススパイスが煮込み料理などに用いられています。

フランスや地中海地方のスパイス

 風土も料理もさまざまなヨーロッパの中で、スパイスを使いこなした食文化を築いているのが、フランスと地中海地方です。世界有数の美食大国フランスの歴史をたどるとイタリアに行き着きます。スパイスの交易で莫大な富を築いたベネチアの大富豪メディチ家とフランス王家との婚姻によって持ち込まれた最高水準のイタリア料理が、優れた味覚のフランス人によって洗練され、今日のフランス料理の基礎となりました。

 フランス料理のエッセンスは、魚介類や食肉、野菜からつくるソースにあります。そのソースには、スパイスが多用されており、複雑な味わいに深みを付与しています。とは言っても、インドのように強烈な香りを持つスパイスを混ぜたり、特定のスパイスが強く主張するような使い方をすることはありません。ブーケガルニなどのミックススパイスは、ペッパーやナツメグにチャービルやタラゴンなどの繊細な香りを組み合わせたものです。クリームやバター、ワインの風味と融和することによって、フランス料理をつくり上げています。

 ギリシャやイタリア、スペインなどの地中海に面した地方の料理は、トマトを多用しています。大航海時代に南米大陸から持ち込まれたトマトとこの地域の特産品となるオリーブオイルをベースに魚介類や牛肉、ピーマン、ナス、オリーブなどの食材を組み合わせた料理が発達しました。地中海料理は、ニンニクやバジル、ローズマリーなどヨーロッパのほかの地域では控えめに使用されるスパイスを組み合わせて用います。はっきりした香りを持つスパイスは、トマトやオリーブの濃厚な風味をいっそう引き立てます。

 また、スペインを原産とするサフランは世界一高価で黄金色の美しいスパイスです。スペインのパエリアや南フランスのブイヤベースには欠かせません。魚介類とよく合う香りは、まさに地中海の風味です。

混血により発達したミックススパイス

 15世紀末にコロンブスがアメリカ大陸に到達したことで、世界中の食卓に唐辛子が普及するきっかけとなりました。メキシコを原産とする唐辛子は、ヨーロッパの支配を受けたことで、変化を遂げました。メキシコの先住民族の料理は、アヒまたはチリ―と呼ばれる唐辛子ととうもろこしを使用したものです。この伝統的な唐辛子料理にスペイン料理が混じり、チリパウダーなどが誕生しました。チリパウダーは、カイエンヌペッパーやパプリカ、オレガノ、ニンニク、クミンなどを配合したミックススパイスで、情熱的な中南米気質にふさわしい風味です。

 チリパウダーを使った料理は、メキシコのタコスです。とうもろこしの粉を伸ばして焼いたトルティヤと呼ばれる平焼きパンに野菜やひき肉、チーズなどの具をはさみ、トマトやアボカド、チリパウダーで風味をつけた料理です。メキシコと国境を接しているアメリカでは、昔からチリパウダーを使用した料理があります。例えば、チリコンカンは、牛肉とうずら豆にチリパウダーを効かせて煮込んだ料理です。

 アメリカのスーパーでは、バーベキューやローストチキンなどさまざまな用途別ミックススパイスが棚にずらりと並んでいます。これらのミックススパイスの製法はメーカーによって異なり、企業秘密となっています。

まとめ

 サウジアラビアから北アフリカにかけて使用されているスパイスは、羊肉を食べる習慣があり、砂漠の厳しい気候条件でも食が進むようにクミンなど香りの強いが好まれています。同じアフリカ大陸でも、南下するとスパイス事情が異なり、唐辛子をよく使うようになります。

 フランス料理のソースには、スパイスが多用されており、複雑な味わいに深みを付与しています。ブーケガルニなどのミックススパイスは、ペッパーやナツメグにチャービルやタラゴンなどの繊細な香りを組み合わせたもので、クリームやバター、ワインの風味と調和することによって、フランス料理をつくり上げています。地中海料理は、ニンニクやバジル、ローズマリーなどヨーロッパのほかの地域では控えめに使用されるスパイスを組み合わせ、はっきりした香りを持つスパイスは、トマトやオリーブの濃厚な風味をいっそう引き立てます。

 メキシコを原産とする唐辛子は、ヨーロッパの支配を受けたことで、変化を遂げました。メキシコの先住民族の料理は、唐辛子ととうもろこしを使用したものです。この伝統的な唐辛子料理にスペイン料理が混じり、チリパウダーが誕生しました。チリパウダーは、カイエンヌペッパーやパプリカ、オレガノ、ニンニク、クミンなどを配合したミックススパイスで、情熱的な中南米気質にふさわしい風味です。

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